楽天旋風の仕掛け人・星野仙一を直撃。「去年の広島のような勢いがある」
もう春の珍事ではない。楽天が快進撃を続けている。19試合で貯金が11で勝率は.789。星野仙一監督が率いて日本一になった2013年でさえ貯金11は、7月7日の73試合目だった。それだけに梨田監督を招聘してチームを2年かけてデザインした楽天旋風の仕掛け人である星野副会長も手ごたえを感じている。 「この時期に貯金の2桁など、なかなか作れない。大変なことだよ。去年の広島カープみたいな勢いがある」 確かに今季の楽天と昨季の広島の類似点は多い。 昨季広島は交流戦で抜け出して一気に突っ走った。「神っている」の流行語大賞を獲得した鈴木誠也に象徴される打線が爆発して、チーム打率.272、684得点、153本塁打。 楽天は、パンチ力が増した1番の茂木栄五郎から、2番・ペゲーロ、3番・ウィーラー、4番・アマダーと並べる超攻撃野球が、モロに当たった。特にバントのない最強打者、ペゲーロを2番に置く布陣が他球団の脅威となっている。茂木、ペゲーロ、アマダーの3人は2年目の野手。ウィーラーも3年目。適応力を見越して、そのポテンシャルを買って獲得したフロントの編成力と現場の判断力が見事に一致した結果だろう。 チーム打率.282、28本塁打、102得点はいずれもリーグトップ。ちなみに広島も昨季のマツダスタジアムでのチーム打率は.284だった。 そして昨季の広島は、波に乗ってからは、ジョンソン、野村祐輔、黒田博樹の先発3本柱に、ジャクソン、ヘーゲンズ、中崎翔太の勝利の方程式が確立していた。チーム防御率は3.22。現在の楽天のチーム防御率も偶然にも3.22で、同じだ。 楽天も則本昴大(2勝1敗)、美馬学(3勝0敗)、辛島航(3勝0敗)の3人に、FAで移籍したきた岸孝之の先発陣に、中継ぎに配した森原康平、左腕の高梨雄平、菅原秀の新人3人、新外国人のハーマンがはまった。7回を森原、8回ハーマン、9回が防御率0.00の左腕、松井裕樹の勝利の方程式。そこに左腕の変則、高梨、菅原がうまくからんでブルペンを充実させている。 「1番茂木、2番ペゲーロが機能しているね。メジャーでは、2番最強説が主流だからな。だが、ピッチャーが先発、中継ぎ、抑えの松井と踏ん張ってゲームを作っているんだ。やっぱり野球は守り。守りがよければ計算が立つ。新人3人が大きい。ハーマンはハーバード大だよ。日本野球に適応できると思って獲得したが、今のところいいね」と、星野副会長。 ただ、このまま独走ゴールを果たせるほどペナントレースは甘くはない。それは24勝0敗のマー君を擁して球団創立初の日本一を手にした星野副会長が、身を染みて知っている。