【不妊治療のリアル】42歳主婦「次は男の子をお願いね」の言葉に追い詰められ|美ST
38歳以降に第一子出産を経験した読者30名に聞きました
Q1.不妊治療しましたか? A.はい…21人、いいえ…9人 38歳以上で初産の方は今回の調査では半数以上が何らかの不妊治療にトライをした経験が。厚労省の調査では夫婦の約4.4組に1組の割合で治療を行っているとの結果。’22年から治療が保険適用になったことでぐっとスタートのハードルが下がり、少子化解消も叫ばれ、以前よりは「周囲にオープンにできるようになった」「治療を理由に仕事を休むことを職場に伝えている」など、不妊治療への理解が進んだと感じているよう。
Q2.どのくらいの期間? A.1年未満…4人、2~3年…14人、3~4年…9人、5年以上…3人 期間はおおむね2~5年。10年以上の人もいました。「心理的なストレスも関係あるのか、やめたら授かりました」という声も。「結婚してすぐにクリニックに通って検査をするカップルも多いよう。専門クリニックの数も増えていて治療を受けやすい環境かも」「年齢によって早く高度医療のステップに移行することを勧めたり、TRIO検査など一般の保険診療との併用が認められている先進医療を取り入れるなど、医療機関でも期間の短縮への努力を感じた」という最近の傾向も。
Q3.費用はどれくらいかかったか A.100万未満…4人、~200万…6人、~300万…14人、~400万…4人、~500万…2人 どのくらいの期間続けたか、保険を使えたかによって大きく異なりましたが、やはりかなり高額。体外受精1回にかかる費用はクリニックにより差異はありますが約50万円、顕微鏡受精は50~70万円ほど。回数や年齢制限があるものの高額療養費制度の対象になることもあり、保険が使えるようになったのはかなり費用面では有効のよう。「43歳以上への保険適用や、受けられる治療回数の増加措置を待ちたい」という声もありました。
【不妊科医が解説】今はさまざまな治療方法が。ですが一番大切なのはご夫婦の心身の健康です
’22年から人工授精などの一般不妊治療と生殖補助医療が保険適用になりました。年齢や実施回数などに制限はあります。これにより不妊治療が広く社会に知られていくと感じますし、保険診療にあたり夫婦での受診が必要な機会が増え、以前よりも男性にとっても自分事と捉えられている実感も。年齢が上がるほど不妊症の原因は複雑化する傾向にあります。卵子の減少や卵子や精子の質の低下、子宮筋腫など子宮の疾患や子宮内膜症など骨盤内炎症性疾患の罹患率が上昇することが原因です。 ですが今は経過によっては自費診療で行う治療方法や検査、保険診療と自費診療を組み合わせて行うことができる先進医療など、多くの方法があります。さらに子宮内の細菌叢が注目されており着床に影響するのではないかという考えから子宮内細菌叢検査などの先端医療の治療も注目されています。治療の必要性をしっかり判断し最適な治療が選択していけると良いですね。パートナーと気持ちを共有しながら前向きに治療を進めてほしいと思います。一番大事なのは自分らしく人生を歩めることではないでしょうか。 さまざまな患者さんを見ている病院のスタッフにも、遠慮なく気持ちを吐き出してもらうとまた良い方向に進めることもあるかと思います。授かることの先にある、子供を産み、育てていくための治療ですのでご夫婦自身の体と心の健康を最優先にすべきですね。(真壁先生)
教えていただいたのは…
⼩畑会浜⽥病院 不妊科 医師/真壁友子先生 ⽇本⽣殖医学会⽣殖医療専⾨医。診察を通じ⽇々第一線で不妊治療に携わる。気持ちに寄り添い対話を大切にしながらの治療に定評。 2024年『美ST』8月号掲載 取材/佐藤理保子 写真/PIXTA グラフデザイン/スズキのデザイン 再構成/Bravoworks,Inc.