三井金属、AIサーバー向けなど「高周波基板用銅箔」需要急拡大。高品質品の販売成長率43%見込む
三井金属は、高周波基板用銅箔「VSP」のハイグレード品の需要が2030年に向けて急激に拡大すると見ている。24年度はAIサーバーをはじめ情報通信インフラ市場向けが大きく成長し、販売量が前年比で倍増する見込みだ。25年度以降もさらなる需要拡大が見込まれており、22~30年の販売量の年平均成長率(CAGR)は43%と予測し、従来予測のCAGR18%から大幅に上方修正した。24年度には台湾工場でのVSP箔の生産能力増強を完了し、25年度からはマレーシアでのVSP箔の生産開始を決めているが、今後も需要拡大に合わせ、タイムリーに追加増産の検討を進める方針。 VSP箔は、サーバーやルーター、スイッチなどの高性能通信インフラ機器に採用されている。特にハイグレード品と位置付けられる最大高さ粗さ(Rz)1マイクロメートル以下の銅箔は生成AI需要の高まりなどで需要が急拡大しており、27年度までにハイグレード品の販売量が23年度に比べ4・5倍程度まで伸びると見込んでいる。 同社はハイグレードVSP箔で世界シェア60%(同社推定)を持つ。同社は、HVLP4カテゴリー(Rz0・5マイクロメートル)の本格量産・販売を昨年から開始しているが、足元ではHVLP5カテゴリー(Rz0・4マイクロメートル)の銅箔も顧客の認定作業を進めており、今年から販売を開始する予定だ。 9日に開催した機能材料事業の事業説明会で岡部正人専務(機能材料事業本部長)は「当社のVSP箔はシェアの高さを背景に、ユーザーとの合わせ込みの機会の多さを開発力に生かせているのが強みだ。今後もこの開発対応力に磨きをかけるとともに、安定供給できる能力を確保していきながらさらなる拡販を図る。特にハイグレード品は上位カテゴリーになるほど利益率も高く、全体の市場が落ち込む局面でも需要減少の影響を抑制でき、稼働率の安定性にもつながる」と話した。