MotoGPが予定する2027年のルール改定、新メーカー呼び込むチャンスに? アプリリアは”業界のため”なら空力制限も受け入れ姿勢
MotoGPには現在5メーカーが参戦しているが、そのうちの1メーカーであるアプリリアは2027年のレギュレーション変更によって他のメーカーが参加してくることを期待している。 【ギャラリー】新シーズンに向けて絶賛仕事中! MotoGPセパンテスト 2022年シーズンを最後にスズキがMotoGPを撤退し、現在はホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTMそしてアプリリアの5メーカーがMotoGPを戦っている。 現状、スズキの抜けた枠を埋める新規参入メーカーは現れていないが、2027年から予定されている新しいレギュレーションが新規参入、もしくは復帰を目指すメーカーにとって最良のチャンスになる可能性がある。 候補メーカーと目されている中でもMotoGPに参戦したことがないBMWは、運営のドルナ・スポーツにとって明らかなターゲットとなるだろう。彼らは現在WSBK(スーパーバイク世界選手権)をメインに活動しており、今シーズンは2021年王者のトプラク・ラズガットリオグルを起用してトップ争いを目指している。 なおBMWとMotoGPとの関わりという点では、シリーズのセーフティカーとしてBMW M2が使用されている。 日本メーカーのカワサキは、2000年代にMotoGPへ参戦。世界金融危機のあおりを受け、2008年限りで撤退。以後はWSBKに注力しているが、彼らが復帰すればMotoGPに新しい価値をもたらすことになるはずだ。 2015年からMotoGPに復帰したアプリリアは再び6メーカー体制へと戻ることを望んでおり、2027年のレギュレーション変更のタイミングが、メーカーを呼び寄せてくれることを期待している。 新レギュレーションが他のメーカーをMotoGPに呼び込む助けとなるかという質問に、アプリリアのマッシモ・リボラCEOは次のように答えた。 「そうだといいね。BMWはラズガットリオグルとのスーパーバイクのテストでかなり速かったようだ」 「そうなればいいことだ。我々は資金を行なう全員に最大限リスペクトしているが、サテライトチームよりも多くのコンストラクターを必要としている」 「カワサキかそれともスズキ、どちらが復帰したいのかも分からないが、メーカーがより参加してくれることは間違いなくいいことだ」 なおMotoGPでは、2027年から導入される新レギュレーションの策定が現在進んでいるが、最大の変更点はエンジン排気量が1000ccから850ccになる予定だということだ。 その他にも持続可能な燃料を100%使用し、空力に関しても見直しが入る可能性がある。 新しいレギュレーションについて、リボラCEOは「まだ協議中」とした上で、こう語っている。 「バイクはより遅くなるようだ。今のバイクは極めて速いため、これは悪いニュースではない」 MotoGPでは近年、空力が非常にホットな開発エリアとなっているが、レースに悪影響を与える可能性が批判の的にもなっている。 2024年シーズンも各メーカーが空力開発に力をいれる構図は変わっておらず、アプリリアは率先して新しい空力デザインを取り入れている。 しかしリボラCEOは、マシンではなくライダーをレースの主役にしたいと考えており、将来的には空力パーツを削減したいと主張。MotoGP全体へのポジティブな影響があるならば、築き上げてきたアドバンテージを手放す用意もあると語った。 「私はエアロを減らし、デバイスを減らし、もう少しライダー側に戻したいと思っている」 「ショーとモータースポーツの利益のためなら、(アドバンテージを放棄することも)ありだ」 「だが結局のところ、関心を集められれば我々はこのビジネスを続けられるんだ。エアロやデバイスのせいでレースが面白くなくなってしまったら、そういったモノ全てが低迷してしまう」 「今年のレースは非常にエキサイティングになると思っているが、最近のみんなが取り組んでいる開発や持ち込まれているモノは、レースが面白くなくなるリスクがある」
Rachit Thukral, Oriol Puigdemont