市和歌山 ドラ1コンビの小園健太と松川虎生に託されたセンバツ
第94回選抜高校野球大会で2年連続出場の市和歌山は第5日(23日)の第1試合で、大会屈指のスラッガーの佐々木麟太郎(2年)を擁する花巻東(岩手)と対戦する。市和歌山のバッテリーが1年前に2回戦で涙をのんだドラフト1位コンビから受け継ぎ、託されたものとは――。 和歌山市内の市和歌山グラウンド。外野後方の校舎に掲げられた二つの懸垂幕が、冬場の鍛錬に励む選手を見守った。それぞれドラフト1位を祝う文字とともに「横浜DeNAベイスターズ 小園健太投手」「千葉ロッテマリーンズ 松川虎生捕手」と記されている。昨年のエースと主将で主砲だった2人だ。 超高校級バッテリーは、後輩にとってこの上ない見本だった。今大会注目の最速149キロ右腕で、小園からエースナンバーを受け継いだ米田天翼(つばさ、3年)は「小園さんがいなかったら、ここまで投げられるピッチャーになっていなかったと思う」。間近で背中を追った間、投球の技術や精神面など知りたいことがあるたびに聞きに行った。多彩な変化球のうち、シュートやカットボール、ツーシームは直接教えてもらった球種だ。 米田をリードする主将の松村祥吾(3年)は昨秋の近畿大会後、遊撃手から捕手にコンバートされた。マスクをかぶった経験は、小学生時代の短期間だけ。戸惑いもある中で頼ったのは、やはり松川だった。ミットの構え方などの基本に加え、練習試合を見に来てくれた際には配球への感想も求めた。捕手としてだけでなく、主将になった当初は毎日のように無料通信アプリ「LINE(ライン)」でミーティングのやり方などを尋ね、チームをまとめる方法を身につけていった。 今年1月28日のセンバツ選考委員会で出場が決まった夜、松川から松村に届いたLINEには「楽しまないと損」と書かれていた。まず目指すは、昨春を超える8強だ。米田は言う。「(エースナンバーの)重みを最初は感じたけど、自分は自分。小園さんと同じでなくてもいい。自分の持ち味を出そうと考えるようになった」。新エースとしての自覚と先輩の悔しさ、そして何より甲子園のマウンドに立てる喜びを胸に、佐々木との対決に意気込む。【野村和史】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。