リリー、肥満症治療薬の供給拡大に向け53億ドル投資へ-不足に対応
(ブルームバーグ): 米イーライリリーは、肥満症と糖尿病の治療に使われる薬の主要成分の生産増強のため53億ドル(約8300億円)を投じる。約150年前に創業した同社にとって過去最大の投資となる。これら治療薬は爆発的な人気で不足が生じている。
リリーはこの投資で、チルゼパチドを製造するインディアナ州施設を拡張する。新しい施設は2028年に製造を開始できる予定だと、デーブ・リックス最高経営責任者(CEO)はインディアナポリスで開催された「インディアナ・グローバル・エコノミック・サミット」でブルームバーグとのインタビューで語った。
チルゼパチドは、「ゼップバウンド」の製品名で販売されている肥満症治療薬と、2型糖尿病治療薬「マンジャロ」の有効成分。
このプロジェクトは、2年以内に稼動する予定の既存の拡張計画に追加される。米国で進行中の製造業再興の最新例でもある。特に医療など機密の技術を扱う分野に携わる企業は、サプライチェーンをより短く、より強靱(きょうじん)にするとともに、地政学的な緊張の激化による混乱の影響を受けにくくするため、より多くの工程を米国内に戻そうとしている。
インディアナ州のホルカム知事はインタビューで、「ここインディアナで研究を実施し、これら製品の製造そして流通を行うことで、米国の中心でわれわれが全てを所有することができる」と語った。リックスCEOは、同イベントでの同知事との炉辺談話で新たな投資計画の詳細を説明した。
国内製造を奨励する取り組みは、重要なセクターにおける中国の影響力を抑制することもでき、再選を目指すバイデン大統領の経済政策の中核を成す。ベセラ厚生長官は声明で、リリーの投資は「全米の地域社会と家族に有意義で持続的な影響を与える良い雇用を創出する」ものだと評価した。
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原題:Lilly Invests $5.3 Billion to Boost Weight-Loss Drug Supply (3)(抜粋)