元テレ朝アナの丸川議員がまた刑事告発 「告発受けて慌てて報告書修正したのだろう」と専門家 自身への違法寄付を政治団体に虚偽付け替えの疑い
自民党の丸川珠代参議院議員が、安倍派(清和政策研究会)からパーティ券収入のキックバック分を“中抜き”の形で寄付を受けていたのは政治資金規正法(以下、規正法)違反であり、安倍派が政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に丸川議員への寄付を記載していなかったことも違法であるなどとして3月28日に東京地検に刑事告発された。するとこの翌日に、丸川議員が代表を務める「自民党東京都参議院選挙区第4支部」(以下、第4支部)の収支報告書が唐突に訂正されていた。この訂正もまた規正法の虚偽記入罪に当たるとして、丸川議員は、4月11日に東京地検に追加告発された。いわゆる「裏金議員」39人に対する自民党内の処分で、丸川議員は一番軽い戒告にとどまっていた。(フリージャーナリスト・鈴木祐太) 【写真報告】これが政治資金報告書と「文通費」領収書だ。橋下徹、維新清水参議員などの実物公開(7点) ◆幾重にも規正法違反 まず3月28日に出された告発状について説明しよう。丸川議員は安倍派が2018年以降に行った政治資金パーティの収入のキックバック分から“中抜き”の形で計822万円の寄付を受けていた。規正法は政治団体が公職の候補者に寄付することも、公職の候補者が政治団体から寄付を受けることも禁止している。だからだろう、安倍派は丸川議員個人への寄付を収支報告書に記載しなかった。これらが政治資金規正法違反の疑いがあるとされたのだ。 しかし安倍派は今年1月31日になって収支報告書を訂正、ノルマ超過分をキックバックされていた多くの政治団体も、それに合わせて2月半ばまでに収支報告書を訂正していた。しかし、丸川議員が代表を務める第4支部は訂正しなかった。 ◆裏金は没収対象だ 毎日新聞の取材に対して丸川議員は、「派閥からノルマ超過分は持ってこなくていいと言われた。資金は(個人の)口座で管理していた」と説明していた。個人の口座で管理していたということは、安倍派からのキックバックされた金が個人に帰属すると認識をしていたということだ。 安倍派は従来から「政策活動費なので収支報告書に記載しないでよい」と所属議員に説明をしていたとされるが、派閥からそのように説明を受けたと記者会見で明らかにした安倍派議員もいた。毎日新聞が報じた丸川議員のこの発言は、安倍派の説明を裏付けるものだと、3月28日に出された告発状では指摘し、収支報告書への記載義務がない丸川議員個人への寄付だったと結論付けている。規正法の規定により安倍派からの丸川議員への違法な寄付は没収されなければいけないとも言及している。 ◆告発後に訂正…それ自体が虚偽の疑い ところがだ。3月28日に刑事告発した郷原信郎弁護士と上脇博之神戸学院大学教授は、翌29日に記者会見したが、第4支部はその29日に唐突に収支報告書の訂正を行ったのだ。この訂正について上脇教授は次のように解説する。 「1月31日に安倍派が収支報告書を訂正した後、私たちが刑事告発するまでの2カ月間、丸川議員が代表を務める第4支部は訂正していなかった。寄付を受けたのは、丸川議員だったからでしょう。ところが、規正法違反の寄付を受けたのが丸川議員だとなると、第4支部の会計責任者の責任にはできません。私たちの告発に慌てて、丸川議員が起訴されないように訂正したのでしょう」 告発を受けた直後に訂正したことに対して、郷原弁護士と上脇教授は、この訂正自体が虚偽だとして、4月11日東京地検に追加告発したのである。 ◆真相を明らかにするのは東京地検の仕事 最初に出された告発状は「具体的な証拠が特定できていない」として東京地検から返戻された。これに対して郷原弁護士は『「具体的な証拠」を収集するのは捜査機関』だと主張し、「『具体的な証拠』の提示を告発時点で捜査権限のない告発人に求めるのは、刑事訴訟法の『何人』でも告発できるとしている趣旨に明らかに反し、到底許容できないもの」と激しく抗議、意見書を付けて告発状を再提出した。 告発状には、一連の自民党派閥パーティ券問題の資料が証拠として添付されており、これ以上の証拠の収集は特捜部が捜査して集めるべきだろう。 一連の派閥の政治資金問題で東京地検が捜査をしていることが明るみになった昨年12月から今年1月にかけて、個人に対する寄付だったという認識を示していた安倍派議員が多くいたが、最終的には安倍派から各議員の関係政治団体への寄付だったとする収支報告書の訂正が立て続けに行われた。まったく釈然としないやり方である。疑惑が解明されたと考えることは難しいというしかない。 ■ 鈴木祐太 (すずきゆうた) 1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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