「黒子のバスケ」撤去は妥当な判断だった 関西大学・亀井克之氏
人気漫画「黒子(くろこ)のバスケ」を巡る一連の脅迫事件で、書籍販売やレンタルを扱うTSUTAYAは、他の書店にさきがけて同作品の撤去を実施しました。これまでにも脅迫が相次いでおり、イベントが中止されるなどありました。今回の判断について、関西大学(大阪府吹田市)でリスクマネジメントを専門とする亀井克之氏(社会安全学部教授 リスクマネジメント論専攻)に話を聞きました。 ――TSUTAYAの判断は「脅迫に屈する」という形になったのでは 「今回の判断については、前向きに捉えています。TSUTAYAは多くの利用客がいる店です。脅迫があった以上、リスクを回避するための最善の努力をすべきだった。(危険が及ぼされる)可能性がゼロでなければ、対処すべきだと思う」 ――今回の判断で模倣犯を呼ぶのでは 「こういう書店などを標的にした場合、模倣犯は出てくる可能性はあるでしょう。(作品の撤去は)行き過ぎた対応かもしれないが、きっちりした対応はあらゆる可能性を摘むことになります。危険が及ぼされない状況になれば、収まってくる。一方で、何か事件が起こってしまえば、『なぜ対応しなかったか」と、責められる」 ――書店は利用者に対し、言論や表現の自由を守るべき立場でないか 「リスクのあることが表面化したときに『まあ大丈夫』で放置してしまうと、結果としてもっと悪い結果につながってしまう。JR北海道の事故もそうだし、最近のホテルの偽装の問題も、『わからないだろう』とリスクを放置した結果、こうなっている。対応しても批判され、対応しなくても批判される。今回の判断は、過剰反応かもしれないが、評価できる」 ――今回の対応で、出版元の集英社との関係性が悪くなる可能性もあるのでは 「いくつか想定されるリスクの中で、出版社との関係が悪化してしまうかもしれない、というリスクをとったのだと思う。その代わりお客さんを守った。TSUTAYAがどこに目を向けているか、ということであって、それがお客さんを守る、ということだった。言論の自由を奪うといって、何もしないより、いい判断ではないか」