「靖国神社への名簿提供は違法」韓国人遺族らの訴え、最高裁が判断へ
第二次世界大戦で旧日本軍に所属して戦没した韓国人の遺族らが、国が靖国神社に提供した戦没者名簿をもとに家族が合祀されて人格権を侵害されたとして、名簿を提供した国に慰謝料などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)は18日、来年1月17日に判決を言い渡すと決めた。 靖国神社への合祀をめぐって最高裁が判断を示すのは初めて。二審の結論を変えるのに必要な弁論を開かないため、国の情報提供に違法性はないとして遺族側を敗訴とした一、二審の結論が維持される見通し。 原告らはいずれも韓国籍で、戦死または戦病死をした父親らが、日本名で靖国神社に合祀されている。2013年に27人が「侵略者がまつられた靖国神社への合祀は亡くなった家族への侮辱だ」などと訴え、名簿を提供した国に慰謝料の支払いなどを求めたほか、靖国神社にも合祀の取り消しなども求めて提訴した。 第二小法廷は、原告らの主張のうち国を被告とする「情報提供行為が違法だったか」との争点だけを受理した。この点について、19年の一審・東京地裁判決は国による名簿提供に違法性はなく、憲法が定める政教分離の規定にも違反しないと判断。昨年5月の二審・東京高裁も控訴を棄却していた。(遠藤隆史)
朝日新聞社