子育て世帯【中間層や高所得者】の「世知辛い所得制限」は児童手当だけじゃない
2023年12月14日に、政府は2024年度税制改正大綱を発表しました。 子育て世帯や低所得世帯を対象に、さまざまな支援策が実施される見通しです。 【図表1~4】中間層や高所得の「子育て世帯」に重い所得制限の数々 ただし、支援策の中には所得制限が設定されているものもあります。 今回は子育て世帯が受けられる支援の中で、所得制限のある支援策を中心に解説します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
子育て世帯の支援で所得制限があるもの
子育て世帯が受けられる支援策には、所得制限が設けられているものがあります。 今回はその主なものとして、以下の4つを紹介します。 ・児童手当 ・高校の授業料無償化 ・給付型奨学金 ・児童扶養手当 それぞれの内容について確認しましょう。 ●児童手当 現行の児童手当は、子どもの年齢や人数に応じて、給付額が異なります。 現行の制度では、3歳未満の子ども1人に対して1万5000円、3歳から小学校修了まで1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生の期間は1万円です(【図表1】参照)。 ただし、児童手当は所得制限があるので、一定の所得を超えると支給額が減額する「所得制限」と、児童手当が受け取れなくなる「所得上限」があります。 ・所得制限限度額:児童手当が5000円の特例給付となる上限所得 ・所得上限限度額:児童手当が支給されない上限所得 それぞれの所得や収入の目安は【図表2】の通りです。 現行制度では所得制限がある児童手当ですが、2024年12月から制度が拡充するため、所得制限が撤廃される予定です。 ●高校の授業料無償化 高校の授業料が無償化になる「高等学校等就学支援金」も、所得制限があるので、全ての子育て世帯が制度を利用できるわけではありません。 現行制度では、私立高校の授業料を平均化した水準である、39万6000円が最大で助成されます。 両親の一方が働いている場合で、高校生と中学生になる子どもがいる4人家族では、満額助成となる収入は年収で約590万円未満です。 他のケースは、【図表3】を参考にしてください。 以上から、高校の授業料無償化における所得制限は、子どもの人数や親の働き方によって異なるので、注意しましょう。 ●給付型奨学金 給付型奨学金は、返済義務のない奨学金です。 学業などの成績が優秀である必要もありますが、奨学金を利用するには所得要件をクリアしなければなりません。 現行の制度では、給付型奨学金を利用できる年収の基準は、380万円程度です。 年収の基準は世帯構成によっても異なります。 また、2024年度から世帯の年収要件を600万円程度まで拡大する予定です。 ●児童扶養手当 児童扶養手当は、ひとり親の子育て支援をするための制度です。 児童手当とは別に支払われます。 児童扶養手当は、手当をすべて受給する「全部支給」と、手当の一部を受給する「一部支給」の2つがあります。 どちらに該当するかは、下表の所得要件によって異なるので、【図表4】を確認してください。 以上から、子育て世帯に向けた支援も、所得制限が設けられているので、中間層や高所得者は受けられなくなっています。