むき出しの赤土地面だった丹沢登山道、20年近くかけて緑再生 成長した草木は今や登山者の体に触れるほど
多くの登山者が歩いて登山道がえぐれ、雨が流れて土壌を流失させ、むき出しになった赤土のぬかるみを避けて道脇を歩くことでさらに裸地化が広がる-。オーバーユースにより丹沢・表尾根などで深刻な裸地化が進んでいた登山道が、神奈川県による構造階段や木道の設置など登山道整備によって大きく改善してきた。裸地化が顕著だった表尾根の二ノ塔(1144メートル)から三ノ塔(1205メートル)の間では、登山道脇から草木が成長して登山者の体に触れるほどまで回復。むき出しだった赤土の地面は目にしなくなっている。 【写真】1970年に二ノ塔周辺から撮影した三ノ塔は、登山道周囲からむき出しの赤土が広がる状態だった 県自然環境保全センター(厚木市七沢)が丹沢資料保存会から寄贈された1970年撮影の写真によると、二ノ塔から三ノ塔に続く登山道は赤土がむき出しになり、赤茶色のベルトが広がったように見える。三ノ塔頂上周辺も赤土が広がった様子を見せていた。 ほぼ同じ場所を今年10月4日撮影の写真で見ると、赤茶けた地面は全く見られず、登山道自体も成長した木々に覆われてどこに道があるのか分からないほど。70年の写真は緑が伸びる前の春先とみられるものの、比較して今年の写真を見ると草木の成長は明らかだ。 10月26日には丹沢自然保護協会主催の植樹の現地見学イベントが三ノ塔周辺で実施され、参加した市民ら約80人が下山の際に登山道周辺の緑が色濃く回復してきている様子を確認した。
神奈川新聞社