元寇750年の節目、佐賀・武雄市で「戦いと伝承」展 国重文「武雄の荒踊」も紹介
中世の武士と、その時代にゆかりがある国指定重要無形民俗文化財「武雄の荒踊」に焦点を当てた企画展「戦いと伝承」が16日、佐賀県武雄市武雄町の市図書館・歴史資料館で始まった。市指定重要文化財「蒙古合戦勲功賞神崎荘配分状」や、荒踊りの実際の衣装など計約50点を展示している。 【写真】元軍襲来の様子を描いた絵巻物や、実際に使われた砲弾「てつはう」などが展示された会場 中国大陸から元軍が日本を攻め、武雄を含めた九州の御家人が中心になった鎌倉幕府軍と激しく戦った元寇(げんこう)の文永の役(1274年)から、750年の節目に合わせて企画した。 蒙古合戦勲功賞神崎荘配分状には、幕府側から元寇参戦の褒美として、当時武雄を治めていた後藤頼明に神崎荘(現在の神埼市)の一部を贈られたことが記されている。「蒙古襲来絵詞模本」(長崎県の松浦史料博物館蔵)なども展示され、戦の荒々しい様子を伝える。 武雄の荒踊は戦国時代の1530(享禄3)年、長崎・島原の有馬氏が武雄の後藤氏を攻めた際、夜襲で有馬勢を破った武雄の足軽たちが即興で踊ったというのが、諸説あるルーツの一つ。以後市内各地に伝わり、中野、宇土手、高瀬の3地区が国の指定を受ける。 企画した同館の近藤貴子学芸員は「これまでの企画展は、江戸時代や幕末の資料を中心にした内容が多かった。今回は鎌倉時代や戦国時代から現代につながる武雄の歴史、民俗芸能の魅力を楽しんでもらいたい」と話した。 展示は12月15日まで。入場無料。1日午後1時半からは、県文化財保護審議会委員の金子信二氏が武雄の荒踊について語る講座を開催。11月23日と12月7日の午後2時からは、市学芸員による展示品解説のギャラリートークがある。講座は先着25人で、参加者を募集中。同館歴史資料係=0954(28)9105。 (糸山信)