能登半島地震 訪日外国人客への影響は?【WBS】
能登半島地震で大きな被害を受けた地域から避難する動きが進む一方、比較的被害の少ない観光地には、地震発生前と同様に、外国人観光客の姿がありました。WBSでは、地震によるインバウンドへの影響を取材しました。 能登半島地震の震源地に近く、大きい揺れに襲われた石川県金沢市。その代表的な観光地が日本三大名園の一つとされる「兼六園」です。園内には、地震の影響で、銅像の周りの石柱が崩れていたり、石垣が崩れた跡も。地震の生々しい爪痕が残っていますが、園内には、散策する海外からの観光客の姿がありました。 オーストラリアから来た観光客は「怖くはない。もう終わったことだ。綺麗で素晴らしい景色の金沢が好き」といい、地中海のキプロス共和国から来た観光客は「安全だと感じている。金沢はとても綺麗で素敵だ」と話します。 海外からの観光客に人気の兼六園。昨年末の外国人の入場者数は1日あたりおよそ1000人でした。今月1日に地震が発生して以降、外国人の来園者数は半分以下になりましたが、それでも1日当たり500人近い外国人が訪れるといいます。 金沢市内の「ひがし茶屋街」も、外国人に人気の観光地です。街の土産物店は「被害は全くなかったが、日本人の観光客はめっきり減っている。ただ、外国人はあまり減っていない。びっくりするぐらい。大丈夫かなと思う」と話します。
インバウンドの影響は「限定的」
北陸新幹線の開通以降、日本を周遊する訪日外国人観光客に人気の金沢市。 コロナ流行前の2019年には、金沢市を訪れる観光客の2割以上が外国人でした。インバウンド客がさらに増えることを見込んで、2020年に開業した外資系ホテル「ハイアットセントリック金沢」では、多いときは6割が外国人客だといいます。 同ホテルの高橋慶・総支配人によれば、1日の地震以降は「キャンセルは1月だと2~3割程度かなと思う」といいます。地震発生後、海外からの客のキャンセルは一定程度出たものの、今後の影響は限定的だと見ています。 「特に台湾とか韓国の客は土地勘があるので、金沢市が安全だと分かっていて、実際お越しいただいているような状態。想定よりキャンセルは少なくすんでいる状態」(ハイアットセントリック金沢 高橋総支配人) 一方、海外の富裕層向けに日本各地のツアーなどを手がける都内の旅行代理店「Beauty of Japan」。能登半島地震発生直後に、スイスの旅行会社から来たメールでの問い合わせには「インフラの被害や電車の運休など最新情報を教えてください」とありました。この他にも、アメリカやドイツなどから、同様の問い合わせが多く来たといいます。 これらの問い合わせに対して、「能登は被害が深刻だが、金沢はそこまで悪くない」とメールで返信しました。金沢市内の観光施設やホテルの営業状況などの情報を細かく伝えたといいます。 「通常通り営業中だという情報を入れて、日々海外に情報発信していた。安心というところはできるだけアピールした」(「Beauty of Japan」の野口貴裕CEO) こちらの旅行代理店では今月1日以降、訪日客のキャンセルはなかったといいます。 「現地に観光客を送り、地域の消費に貢献する。石川県に何かしら力になれることができれば」(野口CEO) 観光庁が17日に発表した去年1年間の訪日外国人客数はおよそ2500万人と、コロナ前の8割近い水準まで回復し、その消費額も初めて5兆円台を突破しました。 今後も海外からの観光客の増加に期待がかかる中、観光庁の髙橋長官は「外国からの旅行者が自然災害に遭遇する可能性はやはりゼロではない。安全確保にかかわる情報提供が大変重要だ。引き続きしっかり実施する」と話しました。 ※ワールドビジネスサテライト