ヤクルトの館山、畠山の引退試合で36号惜別アーチを放った19歳の村上宗隆が受け継ぐものとは?
ヤクルトの館山昌平投手(38)と畠山和洋内野手(37)が21日、神宮球場で行われた中日戦で引退試合を行った。レジェンド2人の引退試合で惜別の36号アーチを描いたのが2年目の村上宗隆(19)だ。高卒2年以内の選手では中西太氏が持っていた史上最多記録に66年ぶりに並ぶ快挙。村上は引退試合の一発に何を感じたのか?
館山は引退後に10度目手術予定
先発した館山は「僕はアウトひとつで十分。残りのアウトは後輩のために」と打者一人との真剣勝負を志願して、大島と対戦。代名詞であるサイドハンドからシュートの連投でカウント1-2と追い込み、最後は、144キロの外角低めへのストレートでセカンドゴロに打ち取って17年の野球人生にピリオドを打った。 「真剣勝負で打ち取れたと思います」 いつもの先発と変わらぬルーティンで準備した。ウォーミングアップは36球+2球。「ブルペンで試合で抑えるための修正をした」。最後まで館山らしかった。 試合後の引退セレモニーでは、花束を贈呈された妻の陽子さん、11歳になった一人娘の海音さんに感謝のメッセージを送った。 「前を向くチャンスをくれて共に戦ってくれた陽子に感謝しています。そして海音に、父親として負けていられないと勇気をもらいました」 9度の手術、そのうち3度はトミー・ジョン手術で175針の手術跡が残る苦難のリハビリ生活を家族のサポートを受けて乗り越え、不死鳥のように何度も復活を果たした。2008年の最高勝率タイトルを奪うと、そこから5年連続2桁勝利、2009年には16勝で最多勝も取った。だが、2013、2014年の2年間は、勝ち星ゼロ。2015年には6勝3敗でカムバック賞を獲得、優勝に貢献した。 「神宮でヒーローインタビューを何度も受けたこと、ファンの皆様の前で、喜びの声を上げれたことは、自分の宝物です」と、引退スピーチした。 実は、26日に10度目の肘の手術を行うという。今年1年、肘の可動域がなかったことが気になり、ここまで酷使した肘内がどうなっているかも確認するのが目的。 「日常生活をスムーズにするためでもありますが、まだ未知数のピッチャーのトレーニングをやってみたいという理由もあるんです。可動域がなく今年はできなかったので」 館山という男の探求心は、ユニホームを脱いでもまだ終わらない。 「もう明日からウォーミングアップができないと思うと寂しい」 グラウンドを一周しながら、ファンの熱い声援を受け館山の涙が止まることはなかった。