年金を60歳から繰上げ受給し、仕事を減らそうと思います。申請する前に考えるべきことはありますか?
1. 仕事を続けることはできますか?
冒頭で述べたケースでは、60歳以後は「減らした仕事の収入」と「繰上げ受給の年金」で暮らしていくということでした。つまり60歳以後、「収入」と「年金」のどちらか一方がなくなってしまったり、大きく減少してしまったりすると生活が苦しくなります。 繰上げ受給によって減少があるとはいえ、年金は亡くなるまでの間、受け取ることができるのは既述のとおりです。では、仕事についてはいかがでしょうか? 自営業者ですので定年はありませんし、仕事の量も自身の判断で加減することができるでしょう。60歳代の仕事を、70歳になっても、80歳になっても続けることができるか、体力や技術など、今のうちにシミュレーションしておくと良いでしょう。 あわせて、生活の固定費も見直しておくことをお勧めします。例えば、車をお持ちなら、手放してカーシェアリングなどを利用する、手放すことが難しいなら、軽自動車や燃費の良い車に乗り換えるなどを検討しましょう。
2. 健康面の不安はありませんか?
健康診断や人間ドックは受けていますか? 受けていても指摘を放置したりしていませんか? 年金を繰上げ受給してしまうと、障害年金の申請ができなくなってしまいます。 元気そうに見えるけれど、実は生活習慣病を抱えていて、しかもひそかに進行しつつあるということがあるかもしれません。繰上げ受給の年金を申請する前に、健康診断や人間ドックを受け、その結果を見ておくと良いでしょう。 また飲酒や喫煙、夜ふかしなどの生活習慣がある人は、この機会に見直してみませんか? できるだけ長く、健康で働き続けるためにも、今後は体調管理・健康維持が必要になってくるでしょう。
まとめに代えて
年金は固定収入です。60歳から前倒して受け取る(繰上げ受給する)ということは、固定収入を早く得られるといえます。 しかし同時に、固定収入が生涯にわたって減ったままになります。仕事の見通しとご自身の健康状態をチェックしてから、年金の繰上げ受給を申請しましょう。 出典 厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします 厚生労働省 基礎編講義 老齢基礎年金(2)1老齢基礎年金の基本年金額 日本年金機構 年金の繰上げ受給 執筆者:大泉稔 株式会社fpANSWER代表取締役
ファイナンシャルフィールド編集部