政治家は落選したらタダの人、では在職中の特権は?国会議員は年収2000万円超、交通費1200万円、JR無料パスも
特別国会は11月11日に召集され、新しい首相に自民党の石破茂総裁を選びました。先の衆院選で自民・公明の与党が敗北した結果、衆院の首相指名選挙は石破氏と、立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票となりました。ところで、その衆院選で議席を失った人たちは、どのような状況に陥るのでしょうか。「落選したらタダの人になる」と言われる議員たちの在職中の「特権」と「落選後」をやさしく解説します。 【図】落選で失われる3つの特権、総額4000万円を超える歳費の内訳は? (フロントラインプレス) ■ 「タダの人」はそもそも、誰の言葉? 「猿は木から落ちても猿だが、政治家は落選したらタダの人」という言葉があります。最近では、恵まれた待遇を失った国会議員を揶揄(やゆ)する文脈で使われることが多くなりましたが、本来は、厳しい選挙戦を勝ち抜いて絶対に永田町に戻って来いという激励の言葉でした。 この言葉を発したのは、自民党の副総裁だった故・大野伴睦氏です。1963年10月23日のことでした。当時の新聞報道などによると、池田勇人首相の下で衆院が解散されたこの日の午後遅く、国会内で総選挙に向けた自民党の決起集会が開かれ、総裁の池田首相に続いて大野氏が激励に立ちました。そして、解散によって「前議員」になったばかりの面々に向かって次のように声を上げたのです。 「前代議士諸君! 諸君は選挙がうまいから、よもや落ちたりすることはあるまいが、猿なら木から落ちても猿であることをやめるわけではないけれども、代議士が落ちればタダの人になってしまう。いくらベテランでも落ちては話にならない。頑張ろう。当選してまた会おう!」 解散を伝える当時の新聞には、総選挙に向かう永田町周辺の熱気が描かれています。そのなかには、自民党の立候補予定者が派閥から「分厚い札束をちょうだいする光景」(同10月24日、朝日新聞朝刊)が見られたなどという、カネ絡みの記事もいくつも登場。「政治とカネ」は当時から切っても切れない関係だったことをうかがわせています。