松重豊、「孤独のグルメ」の人気で「個食堪能できない人生になった」 監督・脚本・主演の「劇映画 孤独のグルメ」【インタビュー②】
俳優松重豊(61)が監督・脚本・主演を務めた「劇映画 孤独のグルメ」(上映時間1時間50分)が10日、公開される。「腹が…減った」「店を探そう」などのセリフでもおなじみのグルメドラマシリーズが満を持して映画化。自身が初めてメガホンも取った意欲作に「見たらおなかがすく1時間50分になった」と仕上がりに自信を見せ〝開店〟を心待ちにしている。(近藤正規) ◆松重豊、ちゃっかり…「美味い、いや上手い!」『写真』
◇店探しで「井之頭五郎が降りてくる瞬間ある」 ドラマが人気になるにつれ、松重ならではの悩みもできたようだ。主人公・井之頭五郎の個食を楽しむ様子が人気だが、松重が飲食店で食事をしていると、周囲から見られることも少なくないようで「この仕事をやったおかげで、ふらっと1人で食べに行って人知れず堪能することができない人生になっちゃった」と苦笑い。 「意識しないようにしているが、周りの人から井之頭五郎だと注目されると生きた心地もしなくなるので、人様の目線を外して食べられるような席があるかなどは確認するようになりましたね」と人気キャラクターゆえの苦労を明かした。
プライベートで食事に行くときは、店を下調べするよりは五郎ばりにおいしい店を見つける直感が働く。「なぜか自分の中で井之頭五郎が降りてくる瞬間があって、ここ何年かは外したことがない。店のたたずまいとか、雰囲気とか、のれんとかをとっても、そこが醸し出している空気は意外と味に直結している」と胸を張る。 役を演じていくうちに感性が磨かれていくようで「普通のラーメンでも店主の気配りやおかみさんの優しさなど僕の中で物語がはぐくまれていくと、普通のラーメンでもむちゃくちゃおいしく感じる。それが一番〝孤独のグルメ〟だと思う。普段の食事でも店の方から受け取る愛情を感じた段階でおいしいと感じられるような店探しを心がけている」と明かした。 ◆松重豊(まつしげ・ゆたか) 1963年1月19日生まれ、福岡県出身。86年、蜷川幸雄さん主宰の劇団に入り舞台で活躍。92年、黒沢清監督の「地獄の警備員」で映画デビュー。主な出演作に映画では「しゃべれども しゃべれども」(2007年)、「ディア・ドクター」(09年)、「検察側の罪人」(18年)、「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」(19年)、「ツユクサ」(22年)、「ラストマイル」(24年)、「Cloud クラウド」(24)、「正体」(24)など。ドラマではNHK大河ドラマ「毛利元就」(97年)や「北条時宗」(01年)、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」(07年)など。FMヨコハマ「深夜の音楽食堂」でパーソナリティーを務めるなど音楽的関心の深さでも知られている。 ◆孤独のグルメ 原作・久住昌之さん、作画・谷口ジローさんによる同名漫画が原作。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎が、営業先で訪れた土地で見つけた食事処で、独り自由に食す様子を描く作品。2012年に松重主演でテレビ東京系連続ドラマがスタートし、シーズン10までシリーズを重ね、スペシャルドラマも放送される人気作品となった。今や松重豊=井之頭五郎というほどお茶の間に浸透。映画では、日本のみならずフランスや韓国を舞台に、松重演じる五郎が〝究極のスープ探し〟の旅に出る。共演に内田有紀(49)、磯村勇斗(32)、杏(38)、オダギリジョー(48)ら。
中日スポーツ