阪大発隠れたベストセラー「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」/大阪
知のダイナミズムを中高生たちにも
同出版会編集者の川上展代さんが、ヒットの要因を冷静に分析する。 「身近で素朴なテーマに、名だたる研究者が総がかりで挑んだ。しかも、想定外の設問を受けとめて、試行錯誤を重ねながらも果敢に立ち向かっていくプロセスを、隠すことなく公開した。知のダイナミズムという学問の根本的な魅力を、読者にしっかり伝えることができたのではないか」 学生たちを指導してきた同大学全学教育推進機構の中村征樹准教授は、次のようにとらえている。 「奇抜なテーマとしっかりした研究内容の間に、ギャップがあると受け取られないか、やや心配したが、好意的な反響を得ることができた。いささか内容が難解かと思われたものの、幸いにも多くの中学高校の図書館に置いていただいたので、中高生にも学問のだいご味を読み取ってもらいたい」 学生たちの柔軟な発想、SNSなどの新たなテクノロジーの活用、三位一体プロジェクトの粘り強い活動などが融合して、出版界にブレイクスルーをもたらした。同書に対する問い合わせは大阪大学出版会(06・6877・1614)まで。 (文責 岡村雅之/関西ライター名鑑)