トランプ氏優勢な米大統領選の現況とオーバーラップ…映画で描かれた大統領暗殺事件「影なき狙撃者」「五月の七日間」
アメリカ大統領選挙投票日を前に、トランプ氏優勢報道がとみに目立ち始めた。アメリカ国内では、民主党系大手メディアもその事実を認めざるを得なくなっている。この情勢に危機感をもったハリス陣営は、これまでの方針を一転させ、メディアとの個人インタビューに応じている。だが、それが裏目に出たのか、ハリス氏にとってマイナス効果となり、民主党陣営を窮地に追い詰める結果となっている。 このような状況になったのも、まずバイデン大統領を引きずり下ろし(クーデター説を唱える声もある)、ハリス副大統領を大統領候補にすげかえた非民主的な交代劇があるといえよう。さらに7月13日のペンシルベニアでのトランプ氏暗殺未遂事件が挙げられる。トランプ氏は奇跡的に助かり、これが選挙情勢変化の号砲となった。 驚くことに、9月15日にはフロリダのゴルフ場で2回目の暗殺未遂事件が起きた。両事件とも単独犯とされているが、これはケネディ暗殺犯とされるオズワルドを彷彿とさせる。 そこで今回は、ケネディ暗殺を描いた映画「JFK」でなく別の大統領暗殺映画を取り上げたい。1本目は、1962年の「キューバ危機」時に公開された「影なき狙撃者」(62年、ジョン・フランケンハイマー監督)。本作は朝鮮戦争で、ソ連・中国に洗脳された帰還兵が、大統領候補を暗殺し、共産側のスパイである副大統領候補を昇格させる大陰謀を描いたものだ。大統領を副大統領にすげかえる話なので、なんだかバイデン下ろしのようである。しかも暗殺場所がマディソンスクエアガーデンだから、なおさら現況とオーバーラップしてしまう。 もう1本は、ケネディ政権によるキューバ侵攻の失敗(61年)を契機とした軍部・CIAの反ケネディ感情をドラマ化した「五月の七日間」(64年、ジョン・フランケンハイマー監督)。 本作は、軍部右派がクーデターを計画するという内容で、JFK暗殺を思わせると話題になったが、当時と変わらず共産国とCIA・軍産複合体などが大統領選の背後で今もうごめいていることに驚かざるを得ない。世界を混乱と危機に陥れたバイデン政権の後に、アメリカはどのような姿を見せるのか。 (瀬戸川宗太)