山田尚子監督、映画『きみの色』ジャパンプレミアで上海国際映画祭トロフィーの重みを語る「気持ちの重さも感じた!」
第26回上海国際映画祭で金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した映画『きみの色』(8月30日公開)のジャパンプレミアが7月3日、イイノホールにて開催され、鈴川紗由、高石あかり、木戸大聖、やす子、寿美菜子、山田尚子監督が登壇した。 【写真を見る】山田尚子監督、七夕の願い事は「ひとやまあてたい」とにっこり 『映画けいおん!』(11)、『映画 聲の形』(16)の山田監督待望の最新作となる本作。アヌシー国際アニメーション映画祭2024でのプレミア上映では異例の上映前のスタンディングオベーションで迎えられるなどの大熱狂ぶりが話題に。世界から脚光を浴びるアニメーション監督の一人である山田監督への期待の高さがうかがえる出来事だった。そして、上海国際映画祭では金爵賞アニメーション最優秀作品賞受賞の快挙も果たすなかジャパンプレミアが開催。いよいよ日本での初お披露目に至った。 上海国際映画祭では、観客と一緒に作品を鑑賞したという山田監督。観客が前のめりになっている様子を見て「楽しんでいただけているのが分かる素敵な時間でした」と笑顔で振り返る。トロフィーをもらった時は「トロフィーそのものも重たかったけれど、気持ちも重みとなって感じて、すごくうれしかったです」と報告。さらに、アヌシー国際アニメーション映画祭ではサイン会も行われ、300人を超える長蛇の列もできるほどの大盛況だったことについて、「作品を観た感想を熱を持って教えていただきました。すでにキャラクターの絵を描いて持ってきてくださったりして、びっくりしたけれどすごくうれしかったです」とよろこびを噛み締めた山田監督。音楽のシーンでは手拍子をしながら楽しんでいる観客も多かったようで、「リラックスして観てくださっていた気がします!」と満面の笑みで語った。 本作で声優に初挑戦した鈴川、高石、木戸。鈴川は「集大成のライブシーンを観てほしいです」と注目ポイントを挙げ、「観るだけで感情が溢れ出る魅力があります!」とおすすめ。高石は「キュンとして恥ずかしい瞬間を絵に描くとこんなにすてきなんだと思いました」と心惹かれたとし、「感情がたかぶってあふれるシーンに注目してほしいです!」と呼びかけた。初号試写で、映画が始まった瞬間に作品の世界に入り込めたという木戸は、「ルイがトツ子、きみの二人と出会って音楽をやっている時のかわいさにも注目してほしいです!」と笑顔でアピールしていた。 『映画けいおん!』がきっかけでギターを始めるほど山田監督作品が大好きなやす子は、アフレコを振り返り、「自由にやってくださいと言われたことに感謝しています。拙い部分もあるかもしれないけれど、あたたかい目で観てください!」と観客にお願いする場面も。「ここでは一切ボケられません!」と、大好きな監督の作品に関われたことを、心からよろこぶやす子に、会場からあたたかな拍手が贈られていた。 もうすぐ七夕ということで、願い事を発表するコーナーも。短冊型のフリップに「ひとやまあてたい」と書いた山田監督が「みなさんよりだいぶ歳を重ねた結果、こんなことを思うようになってしまいました…」とうつむき気味で解説すると、やす子が「この世界は数字が大事!」とすかさずフォローし、観客は大爆笑。そんなやす子の願い事は「“この世から”ドッキリの仕事がなくなること」だそうで、「NGにしてるのにマネージャーが(仕事を)入れてきやがる(笑)。短冊に書いたら願うはず!ということで書いてみました」と心からの願い事だと強調。実は願い事の発表の順番をやす子に内緒で変えていたことをMCから伝えられたやす子は「そういうやさしいドッキリが増えたらいいな」としみじみ。作品同様、やさしい雰囲気に包まれるイベントに終始ご満悦といった様子だった。 取材・文/タナカシノブ ※高石あかりの「高」は、「はしごだか」が正式表記