「脳を喜ばせて元気に」加藤登紀子 人生後半をバラ色にする“ひとりごと習慣”
【前編】「愚痴を言ってる暇はない」加藤登紀子 40代で乳がんを経験…50代で迎えた人生の“転機”より続く 【写真あり】歌手活動60周年をむかえ、ますます元気なおときさん 12月で81歳。来年デビュー60周年を迎える、“おときさん”こと歌手の加藤登紀子さん(80)。80代をむかえてなおステージの上で躍動するなど、あふれるバイタリティの源泉は、おときさん流の“さかさ思考”にあるという。 “さかさ思考”とは、常識をひっくり返して、新しい視点から物事を見たり、考えたりすること。おときさんは、年齢を重ねるごとに新たな発見や気づくことが多くあり、人生にとって“さかさ”の視点はとても大切だと実感しているそうだ。 たとえば、人とうまくコミュニケーションをとることに悩む人は多いだろう。この鉄則は、“相手の話を黙って聞かない”こと。 「『人の話は最後まで黙って聞きなさい』と、言われるけど、私はずっと違和感を覚えてきた。だって、人の話を真剣に聞いていれば、相づちを入れたり、自分の意見を伝えたりしたくなって、黙っていられなくなるのが普通でしょ? 黙っているのは“聞いているふり”をしているだけじゃないか。だから、相手の話を黙って聞かない。“そうですね”と、反応するだけじゃなく“わかりません”“それは違うかもしれません”と、お互いの距離を埋めていく言の葉を届け合うほうが、コミュニケーションが成立していると感じるの」 対話を大事にするというのは、ひとりでいるときにも当てはまる。 「私は家にいるときも、よくしゃべる。“あれ、どこに置いたかな?”とか、“こんな失敗して、バカじゃないの、あなた(笑)”って、ひとりごとを言いながら過ごす。 なぜなら、脳は暇が苦手だから。自分に話しかけることで脳を喜ばせるの。自分との対話は、楽しく生きるための技の一つです」 そして困ったときや、怒りたくなったときなど、心がネガティブな感情で満たされてしまうようなときは、ブレーキをかけるために大きな声で笑うといいそうだ。 「最初は作り笑いでも構わない。不思議なもので、笑顔を作って大きな笑い声を聞くだけで、脳は“この人はいま、幸せなんだ”と錯覚してしまう。 困っているときというのは、何か解決しないといけない問題を抱えている状態。そんなとき、一度笑うことで気持ちが落ち着き、リフレッシュして冷静に問題と向き合えるようになる。ピンチの際は“おもしろいことになったわね”と自分に言い聞かせてみるといい」 笑い声は“破裂音”。その弾けるような元気な音を聞くと、脳はハッピーになれる。これは、歌手生活60年の経験から得た、おときさんの知恵だ。さらに、本当に困って周囲にSOSを出すときも、元気よく笑顔で助けを求めたほうがいいという。