芸能人の子息も通園 「虐待隠ぺい疑惑」の元麻布”セレブ保育園”に港区が異例の「指定管理取消」通告
昨年9月末に上記のようなことが発生したため、本来なら同10月中には元麻布保育園から港区に報告しなければいけない。しかし、同保育園はこの事案についてはなかなか報告をあげようとしなかった。すると別ルートで情報をつかんだ港区が事実確認のため、女児に傷を負わせてから約1ヵ月後に元麻布保育園を訪れたという。事情を知る別の元保育士がこう明かす。 「港区の担当者の方が何人か来られて、“何か隠してることはない?”という話になった。最後は3歳児を傷つけてしまった報告すべき事案がありながら、隠して報告しなかったことを園長が認めたのです。区の担当者は園長に対して『区の保育園だから、1人で抱え込まないで判断に迷うことがあれば相談してほしい』『隠すと隠ぺいになってしまうんですよ。それが一番よくない』と注意していました」 最終的に、一連のことを元麻布保育園が港区に報告したのは11月30日だった。 なぜ区から“隠ぺい”を疑われるほど、元麻布保育園は隠そうとしたのか。保育士が毎年大量に辞めていき、自殺未遂まで起こしていた保育環境をどう考えていたのか。元麻布保育園を運営する春和会はなぜ、園長への指導改善や園長交代に踏み切れないのか。 元麻布保育園はFRIDAYデジタルからの再三の連絡に対して「担当者から電話をさせます」「本部ではないのでお答えできない」という回答に終始。担当者から連絡は一度も来ることなく、用意した質問状を受け取ろうとすらしなかった。 また同保育園を運営する春和会のタムスグループ保育事業部からは「港区とも協議しており、ご回答するしないも含めて(期日までに)返答することは難しい」と明確な回答はなかった。 春和会を指定管理者に選んだ港区はどう考えているのか。 「令和2年度(’20年度)から多数の退職者が発生しているこの状況を重く捉えており、同年度末の退職状況を受けて、指定管理者の人員の確保と運営改善に向けた協議を行っております。令和4(’22)年4月からは区職員が指導、助言をするほか、同年8月からは子どもの権利など専門的な知見を有する保育専門アドバイザーを派遣しております。昨年4月には、区内の保育施設の保育の質向上等に係る取り組みを推進するため、学識経験者3人と区職員で構成する『港区保育の質向上委員会』を設置しました」 港区としては、区の職員だけでなく、外部の有識者を招いて保育環境の改善を図っているとのことだが、園長交代など人事に踏み込む可能性については「施設の管理運営は指定管理者が主体となり行い、園長を交代するかについては指定管理者側の判断となります」と元麻布保育園に委ねるスタンスを示した。 ただ、公表されている「港区立元麻布保育園の管理運営に関する年度協定書」(令和4年度)を見ると、指定管理料として’22年4月1日からの1年間で「3億8273万5730円」が支払われる旨が書かれている。これはすべて区民から集めた税金だ。現状のままでは、区民の怒りを買っても仕方がないだろう。元麻布保育園や運営する春和会が起きていた問題に誠実に向き合おうとしていない今、港区が改善にむけて何らかの介入をしない限り、保育士の大量退職、園児の虐待隠ぺいの悲劇は繰り返されてしまう。
FRIDAYデジタル