セリエAデビュー 変化した本田を取り巻く環境
本田圭佑のセリエAデビューから24時間も経たないうちに、彼を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。13日、成績不振の責任を問われたアッレグリ監督が解任された。15日のコッパイタリア5回戦では、タッソッティ副監督が暫定的に指揮を執る。同監督は、14日昼の会見で「サッスオーロ戦でのパフォーマンスに満足した」とし、翌日のカップ戦で本田を先発起用することを明言した。 12日のサッスオーロ戦で、後半20分から途中出場した本田は、右ポストを直撃するシュートを放つなど、2点のリードを追いかけるチームへ明らかに刺激を与えた。 降格圏にいたチーム相手に大量失点、3対4で敗れただけに、翌13日付イタリア各紙による守備陣への猛批判は避けられなかったが、一方で“ミランの新10番”である本田に対しては好評価が並んだ。 ■イタリア各紙が6点台の高評価 一般有力紙『コリエレ・デッラ・セーラ』はチーム唯一の採点6.5を本田に与えた。「根性を見せ、閃きやテクニックを発揮した上、ポストに当たる惜しいシュートも放った。ミランで最良。こんな(ポジティブな)デビューは小学生時代の作文にも書けなかったはず」と称賛を惜しまなかった。 『ガゼッタ・デッロ・スポルト』も、デビュー戦にも関わらず本田へチーム最高評価を与えた。「後半途中出場ながら、チームに攻撃の波をもたらした」と称賛し、得点を挙げた元ブラジル代表ロビーニョとイタリア代表バロテッリよりも高評価の採点6をつけた。 『コリエレ・デッロ・スポルト』も採点6を与えた上で、「本田ほろ苦いデビュー」という囲み記事を掲載。その中で「本田は大きな助けになってくれるはず。すごく上手いし、イタリア・サッカーにもすぐに順応すると思う」という同僚MFクリスタンテの声を紹介した。MFデ・ヨングやMFカカに続いて、徐々に表に出てきた新チームメイトの本田評は興味深い。 ロビーニョと交代する瞬間やFKを蹴る前のバロテッリとのツーショット、そしてシュートの場面など、各紙とも初めてのユニフォーム姿の本田の写真をバリエーション豊かに掲載した。シーズン前半戦に欠けていた“背番号10”が還ってきたことは、やはりシンボリックな事件だったのだ。 ■後半戦への期待に満ちたもの 本田のセリエAデビューに対するイタリア各紙の評価は、辛口どころか、今後の後半戦挽回に向けた高い期待に満ちたものだった。 13日、成績不振によってアッレグリ監督が解任された。週末のセリエA20節ヴェローナ戦からは、ブラジルでプレーしていたMFセードルフが、急遽監督に就任することが濃厚になっている。3年前まで背番号10を着けていた大先輩の監督就任と先発起用によって、本田にもいよいよ本物のプレッシャーを背負う日々がやってくる。本田がミラノの地を踏んでから、まだ10日足らず。彼がイタリア・メディアの洗礼を受けるのはこれからだ。 (文責・弓削高志/イタリア在住スポーツライター