生産現場知り販売生かして 小松マテーレ、「ユナイテッドアローズ」店員見学
小松マテーレ(能美市)が、アパレルショップとの連携を強化し、自社製品のブランド力向上を目指す取り組みを進めている。全国展開する人気セレクト店「ユナイテッドアローズ」の販売スタッフの工場見学を初めて受け入れたほか、アパレルメーカーから引き合いが強い独自加工の素材の生産能力を引き上げた。2030年度の売上高500億円達成に向け、販売と生産の両面で成長を狙う。 ユナイテッドアローズは、ダウンジャケットやシャツなど、小松マテーレとのコラボ商品を全国の店舗で取り扱っており、消費者と接するスタッフに、商品への理解とものづくりの現場を知りPRにつなげてもらおうと、工場見学が企画された。 首都圏のユナイテッドアローズ店舗で働く販売スタッフら10人が18日、能美市の小松マテーレ本社に足を運び、敷地内の見学・体験施設「fa―bo(ファーボ)」や染色現場、染料の開発工程などを見て回った。担当者から染色工程の説明やこだわり、技術開発の苦労話などを熱心に聞いた。 ルミネ有楽町店で働くディマルツォさん(33)は「小松マテーレの商品は首都圏でよく売れている。見学で学んだことを接客で生かしたい」と話した。同行したユナイテッドアローズの松橋和久教育課長は「ものづくりの現場を見ることはスタッフ教育に重要だ」とし、同様の工場見学を継続させる方針を示した。 ●SY加工を3割増強 小松マテーレは、ジャケットやパンツ、女性向けのスカーフなど幅広いファッション製品に採用される独自技術「SY加工」の生産能力も高めている。約3億円を投じて設備を追加し、生産能力を3割増強した。 米谷俊泰常務生産本部長は、合繊の持つ高い強度と綿素材を天日干ししたような質感が特徴と説明。「開発から20年以上が経過し、認知度は高くなっている。素材の使いやすさと表情が今のトレンドに向いており、需要に応じた増産態勢をとっていきたい」と話した。