イスラエルの報復抑制、ガザやレバノンの戦闘収拾で外交努力後押しも
(ブルームバーグ): イスラエル軍は26日、イランによる今月1日のミサイル攻撃への報復として、同国の軍事施設を空爆した。米国との調整を経て、ミサイルおよび防空施設に限定した攻撃は、多くの人々が予想したより抑制されたものとなり、人質解放やレバノンとパレスチナ自治区ガザでの戦闘収拾に向けた外交努力を後押しする可能性がある。
ブリンケン米国務長官がイスラエルやアラブ同盟国との4日間の協議を終えてワシントンに戻るまで、イスラエルは反撃を見合わせた。
夜間の作戦行動を通じて、恐らくシリアとイラクを含む敵地上空を通過し、空中給油を行いながら、数十機のイスラエル軍戦闘機が数千キロを飛行。イランが1日にイスラエルに向け弾道ミサイルを発射したことへの報復として、三つの州の軍事施設を標的に空爆を行った。
イスラエルは、ネタニヤフ首相と軍幹部が国防省の掩蔽壕(えんぺいごう)から指揮を執る様子を収めた動画を公開した。イランに対する攻撃を認めることは珍しく、おおむね「影の戦争」だったものが拡大する気配をうかがわせる。
イスラエルはその一方で、バイデン米政権の要請に応じ、石油と核関連施設、民間インフラへの攻撃は控えた。バイデン政権は、イランが長年支援し、パレスチナ自治区ガザを実効支配してきたイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃によって引き起こされた危機の解決策を探っている。イスラエルのガラント国防相は、オースティン米国防長官と緊密に連絡を取り合っていたと語った。
バイデン大統領は26日、攻撃の連鎖に歯止めがかかることを期待していると述べた。ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は国家安全保障チームとの電話会議で、イランによる報復からイスラエルを守り、同地域の米軍を保護するため「あらゆる努力」を行うよう指示した。
イスラエルが26日に自制したことで、イランはそれを効果のないものとして片付けることが可能になり、限定的な反応ないし全く反応しない状況につながることもあり得るだろう。