足利氏の輪、広がれ 尊氏生誕地の京都・綾部で「ゆかりの会」
室町幕府の足利将軍家ゆかりの自治体や社寺などでつくる「全国足利氏ゆかりの会」(事務局・栃木県足利市)の第39回総会が10月30日、初代将軍・尊氏の生誕地とされる京都府綾部市で開かれた。約70人が出席し、足利氏顯彰・情報発信の促進などを承認した。参加者は31日、尊氏の墓がある同市安国寺町の安国寺(今順充住職)を訪れ、追善法要に参列した。【庭田学】 ◇安国寺で追善法要、墓碑参拝も 足利氏ゆかりの会は1986年設立。足利氏の顯彰や関係団体のイメージアップなどが目的だ。現在9市町、33社寺など計61団体で構成。発足当初から足利市長が会長を務める。 尊氏から数えて29代目の足利義徳さん(46)=京都市左京区=も総会に出席した。祖父進悟さん、父義弘さんが務めた「ゆかりの会特別顧問」の役職を昨年引き継いだ義徳さんは「ゆかりの地の特色をいかして地域が活性化し、心豊かになる関係が生まれることをサポートしたいと祖父と父は常々言っていた。私もその思いを持ちたい」とあいさつした。 会長の早川尚秀・足利市長は「足利氏の偉業を伝え、ゆかりの会の会員間の交流、連携の輪を広げて活動を進めたい」と述べた。 綾部市での総会開催は設立時の86年第1回、2004年第19回以来、20年ぶり3回目。副会長の山崎善也市長は同市の歴史や特産品などを紹介した。 総会では帝塚山大の花田卓司准教授が「足利尊氏をめぐる人々」と題して講演した。尊氏の母、上杉清子は現在の綾部市出身。花田准教授は「清子は尊氏の和歌愛好に影響を与えた。尊氏は筆跡も清子と酷似している」などと指摘した。 安国寺で参加者は、尊氏が産湯に使ったと伝わる井戸を見学したり、尊氏とその妻登子、母清子の3人の墓碑に参拝したりした。 来年度の総会は栃木県さくら市で開催される。