復興への思いを形に……高校生が手作り3Dプリンターで小学生に出前授業
福島第一原発事故の影響から仮設校舎で学ぶ福島県立小高(おだか)工業の高校生が、3Dプリンターを自前で作り、同じく仮設校舎の市内の小学生に教える出前授業を13日に行なった。「自分たちで作る」ものづくりの魅力を、地域に広める。3Dプリンターの学校での活用はこれからで、地域を巻き込む一つのモデルケースになりそうだ。
「自分たちが3Dプリンターで作った『うま助』を、みなさんにプレゼントしたいと思います」
高校生が発表すると、小学生から歓声がわいた。指でつまめる程度の小さなプラスチック。小学生が顔を近づけて、物珍しそうに見ている。「すごい、こんなの作れるんだ」。
南相馬市小高区の大半の避難指示が今月12日に解除された翌日の13日、授業は行われた。小高区から約15キロ北に離れた同市鹿島区の仮設校舎で、小高区内から避難している小高、福浦、金房、鳩原の4小学校の6年生29人に、高校生が「授業」を行った。
「3Dプリンターは、紙に書いたような平面のものを、立体的に作りだすことができる機械です」 「バイオリン、船、フィギュア、剣などいろいろな形を作ることができます」
3Dプリンターは、平面の層を積み重ねていくことで、立体的な形を作る。小高工業の機械科の生徒5人が、「課題研究」というゼミのような授業の一環で取り組んだ。
「プリンターは、たくさんの材料を組み合わせて作ります。企業とも協力しました。部品も自分たちで作り、プリンターを完成させます」 「印刷の方法ですが、まず、平面の設計図をパソコンでつくります。次に、設計図を立体的な形にして、『表情』を作ります。この設計図をデータで送ると、印刷できます」
プリンターは高校生の手作りだ。6月に、本体部分や配線など作業を分担し、5台を組み立てた。モーターとリニアガイドの主要部品は、福島県内の企業から提供を受けた。 南相馬は、1000年続く伝統の「相馬野馬追」が有名。高校生は、馬を模したキャラクター「うま助」を作ることを決めた。