日本国債がアジアで最低パフォーマンス、日銀政策の見通しづらさ映す
(ブルームバーグ): アジア・太平洋の債券市場で日本国債(JGB)のパフォーマンスが最低に落ち込んだことは、日本銀行の金融政策が他の中央銀行に比べ見通しづらくなっていることを示唆している。
ブルームバーグ・グローバル・リターン・インデックスによると、日本国債の年初来リターンは5月後半以降にマイナス3%台まで落ち込み、米国やシンガポールを下回り、最低となっている。中銀の政策指針が明確に示されているオーストラリアやニュージーランドの国債が6月に入りプラスに転じたのとは対照的だ。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、各国の金融政策の見通しやすさの差が国債のパフォーマンスに表れていると指摘。「日本国債は政策の読みづらさがボラティリティーの上昇にもつながっており、『JGB村』の外にいる海外投資家はついていけないのではないか」とみている。
日銀は3月に物価目標2%の持続的・安定的な実現の確度が高まったとし、マイナス金利政策とイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を撤廃した。債券市場はおおむね落ち着いた反応を見せたが、エコノミストの見通しに沿って日銀の利上げ織り込みを後退させていた一部海外勢は投げ売りを強いられた。日銀の指針が具体性に欠け、政策変更の織り込みが変化しやすい状況が続けば、日本国債は海外から一段と敬遠され、金利も急騰しかねない。
みずほ証の大森氏は「日銀の政策目標が物価なのか何なのか良く分からなくなってきている」と言う。外国為替市場では4月に一時1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準を付けた。為替動向も気にする日銀は6月の金融政策決定会合で国債買い入れ減額の方針や追加利上げに意欲を示す可能性があり、日本国債への売り圧力が高まるリスクには警戒が必要だ。
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--取材協力:Cormac Mullen、Masaki Kondo.
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Saburo Funabiki