固定資産税の算定基準となる土地価格が「本来より高く決定」主張認める…宮崎地裁、245万円分取り消す
固定資産税の算定基準となる土地の価格が本来より高く決定されたとして、産業機械販売などを手がける「三井」(本社・宮崎県延岡市)が延岡市を相手取り、市固定資産評価審査委員会が決定した登録価格の取り消しを求めた行政訴訟の判決が13日、宮崎地裁であった。後藤誠裁判長は同社の主張を認め、登録価格のうち約245万円分を取り消した。 【写真】宮崎地方裁判所
固定資産税は、国が定めた固定資産評価基準に基づき決定された登録価格などに税率を乗じ、納税者に通知される。
判決などによると、延岡市は同社が市内に所有する土地について、2021年度の登録価格を約7494万円と決定。同社の審査申し出に対し、市の第三者機関の審査委は22年1月、登録価格を約6091万円に減額する決定をした。同社はこれを不服とし、適正価格は約5845万円として取り消しを求めて提訴していた。
同社は訴訟で、審査委が価格を決定する際に地積測量図や公図を使うべきところを、誤った図面を地図情報システムに取り込むなどしたと主張。その結果、土地の奥行き距離が短くなり、価格決定に必要な補正率が同社に不利な数字になったなどと訴えていた。
一方、市は法務局から送付された地図に記載された情報を地図情報システムに取り込んでおり、計測は的確と主張していた。
判決は、同システムによる土地の面積が、地積測量図によって計測されたものと比べ92・4%にとどまり、「誤差の範囲を優に超え、正確性に疑問がある」と指摘。審査委が適用した奥行き距離や補正率は正しくなく、適正価格は約5845万円として、それを約245万円上回った審査委の決定を違法とした。
判決を受け、同社は「主張が認められたものと受け止めている」、同審査委は「判決文の詳細を確認しておらず、コメントは差し控える」としている。