通勤車をEV化、就業中に複数同時充電 1人年1トンCO₂削減へ 日立子会社
日立インダストリアルプロダクツは、複数台の電気自動車(EV)を同時に充電できる独自開発のEV充電設備を土浦事業所(茨城県土浦市)に設置し、通勤用EVによる二酸化炭素(CO₂)削減モデルの運用を7月から始めた。従業員の通勤車をEV化し、就業中に充電することで通勤に伴うCO₂削減を目指す。土浦事業所のマイカー通勤者全員に適用した場合、CO₂削減効果は1人あたり年1トン、通勤手当は約80%削減できると試算する。 【関連写真】従業員自らが出勤後に急速充電を行う 「ワークプレイス・E-パワリング(WEP)」と名付け実証を本格化した。2023年に製品化したEV充電設備「マルチポートEVチャージャ」を土浦事業所の駐車場に設置し運用を始めている。 マルチポートEVチャージャは、標準で500kWの大容量を確保。戦略経営本部事業戦略第一部の五味玲部長は「25kWで20台分、50kWで10台分を同時充電するなど、柔軟に充電環境を作れる」と話す。 他社にないマルチポートの仕組みを備えるため、導入コストも抑えられる。20ポートであれば、ポート単価は620万円程度で構築できる。 今回、土浦事業所には最大80台までEVを同時接続でき、20台までの同時充電が可能な設備を導入。プロジェクトにはまず20人が参画している。同社のマイカー通勤者は324人。 充電管理などは日立製作所グループのグローバルロジックと連携して開発。スマートフォンアプリも開発中で今年度下期に運用を始める予定だ。 WEPは日立グループのコネクティブインダストリーズセクターで横展開していく。今後2~3年をメドに順次グループ会社へも導入するほか、海外での導入も進めていく。日立製作所コネクティブインダストリ―ズ事業統括本部の末次陽二グリーン戦略推進センタ長は「WEPを起点に社会課題の解決を目指し、自治体などとも連携していく」と話す。 日立インダストリアルプロダクツの小林圭三社長は「環境負荷低減に関心の高い顧客が多いことから、EVチャージャを起点にさまざまなソリューション提案をしていく」と話している。
電波新聞社 報道本部