オーストリア、極右主導の連立政権誕生か 大統領が組閣を要請
国民議会(下院)総選挙後の連立交渉が決裂したオーストリアで、ファンデアベレン大統領は6日、極右の自由党に組閣を要請した。極右主導の連立政権が初めて誕生する可能性が強まっている。 自由党は昨年9月の総選挙で29%を得票し、初めて第1党となった。だが自由党との連立に前向きな政党がなく、ファンデアベレン氏は第2党の中道右派・国民党に組閣を要請。国民党は中道左派の社会民主党、リベラル政党ネオスと3党による連立を見据えて交渉していたが決裂した。 ロイター通信によると、ファンデアベレン氏は自由党に国民党との連立交渉を求めたが、その判断について「簡単ではなかった」と述べた。 自由党は1950年代に元ナチス党員らが結党した。連立政権を主導したことはないが、2017~19年に国民党と連立を組んでいた。現在のキクル党首は欧州連合(EU)に懐疑的でロシア寄りの姿勢を取る。キクル氏が政権を率いることになれば、オーストリアの外交方針は大きく転換しそうだ。 国民党のネハンマー首相はこれまで、キクル氏が率いる自由党との連立を否定してきた。だがネハンマー氏は連立交渉決裂の責任を取って首相と党首を退くことを表明。国民党と自由党の間には厳しい移民対策など共通する政策も多いことから、国民党の暫定党首に選出されたシュトッカー氏は、自由党との連立を排除しない方針を示している。【ベルリン五十嵐朋子】