3日前と異なる躍動見せた横浜FM井上健太「昨日カツくんと2時間くらい試合を見て…」
[6.1 J1第17節 鹿島 3-2 横浜FM 国立] 鬱憤を晴らすチャンスはすぐにやってきた。3日前の柏戦(◯4-0)で良さを出せないまま前半限りでの途中交代となった横浜F・マリノスMF井上健太がこの日、またしても左ウイングのポジションで先発出場。前半10分には果敢なカットインシュートで相手GKを強襲し、FWアンデルソン・ロペスの先制点をお膳立てした。 【写真】「マジで美人」「可愛すぎてカード出る」現地観戦した女子アナに称賛集まる パスの選択肢もあった中、前のめりなプレーが結果につながった。「本当は縦に行きたかったけど、縦は警戒されているなと思っていた。あそこはボス(ハリー・キューウェル監督)からもどんどん振っていけと言われているので、自分も強気に選べた部分もあったかなと思う」。その姿勢はかつて現役時代、同じポジションで世界のトップレベルを経験した指揮官に日頃から求められているものだった。 「ドリブルの仕方や駆け引きの部分はよく練習でも言ってもらいますけど、自分の場合は『とにかく行け』と。メンタル的にビビって行かない場面とか『何で行かないんだよ!』というところがボスから見たらあるみたいで、自分的には絶対取られるだろうって場面でも『行けよ。お前は行けばいいから』と。練習が始まる前にもずっと言われてますね」(井上) さらにこの得点シーンでは、攻撃の起点を担ったのも井上だった。左サイドの組み立てがノッキングを起こしたものの、井上が爆発的なスピードを活かしたプレスバックでMF佐野海舟からボールを奪ったことで、チームが狙いとする相手をスピーディーに押し込む攻撃につなげていた。 「あの場面はまずボールを取られてしまって、でも攻守の切り替えというのはボスからも言われているし、そこは(井上の)良さだからと。柏戦の次の日、ヘッドコーチのジョン(・ハッチンソン)からビデオを見せられて『全部が悪かったわけじゃない』と守備のところを褒められた。そこをやらないと(ポジション争い)の土俵に乗れないので、そこはやろうと思っていた」。柏戦で得られた手応えも活かした一連のプレーだった。 その後も前半17分には佐野の股を抜くドリブル突破で局面を打開したかと思えば、同45分には右サイド起点の攻撃に内側で顔を出し、FWヤン・マテウスとDF永戸勝也の鮮やかなワンタッチコンビネーションを演出。A・ロペスのシュートが不発に終わって追加点こそならなかったが、連係の中でも適応した様子を見せていた。 井上によるとこうした連係面の向上は、試合前日の出来事が大きなきっかけになっていたという。 「昨日カツくん(永戸)と2時間くらい全部、試合を見て、自分が思っていることだったり、カツくんが思っていることだったりをずっと話して、カツくんからのアドバイスをもらって、それが自分の中で本当に大きかった」。柏戦では永戸との縦関係の意思疎通がうまくいっていない様子が表れていたが、さっそく入念なディスカッションが行われていたようだ。 そこではまず井上が出場した柏戦の前半45分間を映像で確認し、ビルドアップや守備のポジショニングを整理。その後は他の試合の映像も参考にしつつ、お互いに意見を交わしたという。またただ単に意図を伝え合うだけでなく、その場にはいなかったDFエドゥアルドの意図を永戸が代弁したり、技術的・メンタル的な要素にも踏み込んだりといった濃密な内容だったようだ。 「自分がいろいろと質問をして、こういう時はこうなんですけど……みたいな形で話しました。自分が見ている画と、カツくんが見ている画、エドゥが見ている画は全然違うし、カツくんはずっと隣でやってきていたので『エドゥはこうだから』というのをわかる部分がある。そこを教えてもらいました」 「(ビルドアップで)何でボールが出てこないのかというのもそうだし、たとえば自分のタッチがミスったところも技術的なミスというより、相手との立ち位置によってメンタル的に『ヤバい、来ている』と思うことがあった。その相手との駆け引きだったり、チームのビルドアップの型の中で何をしなきゃいけないのかということをはっきりさせてくれたり、動き方を事細かに教えてもらいました」 そんな井上は後半16分までプレー。ウイングをローテーションさせながら戦う横浜FMにおいて、FW宮市亮との交代は予定どおりとみられ、柏戦からのプレータイム延長は大きな前進といえる。現在はFWエウベルが腕の負傷で出場を回避している上、シーズン後半戦には新大会のACLEを控えていることからも攻撃陣の選手層拡大は急務。試合は結果的に落とす形となったが、井上の好パフォーマンスは大きな収穫となった。