「地震発生72時間」どう生き延びる? そなエリア・山崎センター長に聞く
日ごろからの準備は?
――――生き延びるために普段から準備しておくべきことはありますか? 山崎センター長:災害時は、それこそパニックになるので普段やってることしかできません。日ごろからの練習や備えが大事になってきます。 大地震が起きたときの避難場所を家族と事前に確認しておきましょう。例えば「渋谷駅前」にしていたらどうでしょう? 具体的に「ハチ公前のどこのベンチの前」など決めておかないと家族と会えないかもしれません。避難場所は相当混雑するので、家族で練習がてら一緒に行ってみると、イメージできていいですね。 家具の固定対策も大事です。大地震の際には「テレビが飛ぶ」こともあるといいます。ドアの開閉を確保できるようレイアウトも見直しを。日ごろの備えによる安心はメンタル面に影響します。
地震への「10のそなえ」
東京消防庁の「地震に対する10の備え」 では、今から備えておきたいことがらが簡潔に整理されています ――――備蓄しておいた方がよいものはありますか? 山崎センター長:第一はやはり水でしょう。大災害時は当然手に入らなくなります。水がないと脱水症状になるので必須です。また水は「飲料用」と「雑用」の2種類用意するのがよいでしょう。「雑用」はお風呂の水などでもいいですし、浄水器があれば最悪お風呂の水を飲むこともできます。 うっかり忘れがちなのが薬です。また、いつも家族と一緒とは限らないので、家族の写真を持っているとよいでしょう。お薬は、自分の飲んでいるものをきちんとお薬手帳に書き留めておきましょう。お医者さんに「どんなお薬を飲んでいますか」と尋ねられた時に、「ほら、あの白くて丸い薬」と答えてもお医者さんは判断できません。体質に合わないものでは、大変なことにもなりかねません。 また、家族の写真は、家族とはぐれてしまったとき、ほかの人に「こんな人を探しています」と尋ねても写真があれば見つかる確率がぐんと高まります。 そして意外に深刻なのがトイレ問題。直下型地震が起きた場合、水道管のズレなどの理由で水洗トイレは使うなといわれる可能性があります。また避難所でもトイレはその日にうちにパンクします。袋と殺菌剤が入っている簡易トイレを準備しておくと良いでしょう。 72時間自分の力で生き延びなくてはいけないとき、特別なサバイバル能力ではなく、普段から備えておくことが重要になってきます。自分が助からないと、となりの人を助けられません。普段の備えについて見直したり、ご家族で話し合ったりしてみませんか。 何か一つでも対策しておけば心配を一つでも減らせます。東京消防庁の「地震に対する10の備え」なども参考にして、日ごろから「どう生き延びるか」をイメージしておきましょう。
■東京臨海広域防災公園(そなエリア東京): 東日本大震災の半年前の2010年7月にオープン。普段は防災体験学習施設として市民に開放されているが、大災害時には政府の「緊急災害現地対策本部」が設置される。「そなエリア」とは、そなえる+エリアの造語。「ここでの体験と学習を通じて、“災害をイメージする力”と“対応力”を身につけることで、災害への備えにつながる場所」を意味しています。