昭和の大スターが「カスハラ」の代名詞に! 遺族が全力否定する「名言」の誤用
「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇) 本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「カスハラと昭和の大スターの有名な名言との関係」です。 ● 2009年の消費者庁設立で消費者側の権利意識も高まった 吉田くん(以下、吉田):専門家によると、カスハラをするのはおじさんが多いそうですね。でもおじさんは昔からいるのに、なんで最近カスハラが問題になってるんですか。 アカツキ先輩(以下、アカツキ):背景にあるのは、2009年の消費者庁設立などで消費者を保護する環境が整えられ、消費者側の権利意識が高まったことだと言われている。さらに、2000年代に企業による原産地の偽装や賞味期限の改ざんなどが相次いだことで、企業への不信感も募った。SNSの普及の影響も大きくて、これまで泣き寝入りするしかなかったケースを含め、消費者側が企業にもの申すという風潮が強くなった面がある。 吉田:消費者の意識かぁ。「お客様は神様だ」とか言いますもんね。あれ? でもなんでお客様は神様なんですか。お客様はお客様ですよね。 アカツキ:「お客様は神様です」は、歌謡界の大スターだった故・三波春夫さんの言葉だ。ただ、これは「神前で祈るときのように、雑念を払って、澄み切った心で歌う」という心構えを語った言葉で、今の使われ方は本来の意味とは全く違うそうだ。三波さんの公式ホームページには、三波さんの長女・美夕紀さんが「(三波さんが)『お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい』などと発想、発言したことはまったくありません」と真剣に訴える文書が掲載されている。吉田の言う通り、お客様は神様じゃなく、あくまでお客様。言葉が一人歩きしてしまったんだな。 吉田:僕らの決めぜりふ「たーかーのーつーめー」は全然一人歩きしませんけどね。 ※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。 ※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。
「鷹の爪」吉田くん