ヴィンテージのカバーオールは今のうちに買っておこう──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」
デニムジャケットが高騰したように、カバーオールも連日ストップ高。藤原裕の私物から、今買いのカバーオールを知る! 【写真を見る】それぞれのディテールをチェック!
カバーオールは今が買い!
こんにちは、藤原裕です。相変わらずGジャン人気は凄まじいですが、最近私の周囲ではカバーオールを探している人が増えています。Gジャンと同じく、世界中にコレクターが存在するほど人気で私も大好物。もともとワークウェアの中でも特に注目度が高く、市場に出回る数は決して多くありません。中でも50年代以前のリーやヘッドライト、カーハートといった人気ワークブランドのものは、ここ数年しばらく見ていませんし、もし見つかってもかなり高額である可能性大。ただ、60年代以降の個体であればいまならまだ比較的入手しやすく、価格もそこまで上がっていないのでおすすめです。というわけで、今ぼくが所有しているカバーオールをお見せします! ■60年代 リーのワークジャケット ワークブランドとしては珍しいテーラード仕様。「おそらくリーが当時、企業からオーダーを受けて作ったテーラードのユニフォームだと思われます。リーのアイテムにはそれぞれ品番がついているのですが、1から始まる4桁の品番がその証しです」 ■60年代 リーのカバーオール ボタンに刻まれたロゴが「ロングL(Leeの”ee”の下に”L”の横線が入るデザイン)」ではないことから、60年代の頃のものと判明。「カバーオールの中で、リーは別格です。特に『ハウスマークタグ(40年代より前に作られたものに付属するブランドタグの呼び名で、三角形のロゴが家〈ハウス〉に見えることに由来)』の個体は、世界的に人気が高く、いまはほぼ市場には出回りません。これは生成り地に施された落書き風のデザインが気に入っています」 ■50年代 ヘッドライトのエンジニアジャケット カバーオールと並び、エンジニアジャケットも最近人気を集めているアイテム。「カバーオールよりも個体数が少なく、さらに従来はインナーに着るものなので、ビッグサイズはほとんど見つかりません。これはサイズ「46」程度で、ボタンはロゴがブルーのタイプです。人気のショート丈でヒッコリーストライプはデニムと相性抜群。あと襟がないのでビンテージフーディが着やすいというのも、個人的に好きなポイントです」 ■60年代 リーの44-J リーのアイテムの特徴の一つが、品番によって使用生地が異なること。91-Jがデニム、92がブラウンダック、96がピンストライプなどといった具合に。「44という品番は生成りで、60年代のものです。この年代のものはプリンストン大学のプリントが入ったものが多いのですが、これは背面にチェーンステッチを施した珍しい個体です」 ■スーパーダックス×カーハート ハンティングジャケット 袖ボタンのデザインが横並びになっているロゴデザインから、60年代製であることがわかる。「貴重なダブルネームです。過去にベルベルジンで販売していたのですが、ずっと売れ残っていたので、今よりもだいぶ安く買わせていただきました。ヴィンテージ市場の中でも、ハンティングジャケットなどのアウトドア系のアイテムは価格が落ち着いているのでおすすめです。カバーオールとデザインが似ているので、今回は入れました」 PROFILE 藤原裕(ふじはら・ゆたか) ベルベルジン・ディレクター 原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」顔役。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。最近は会食が続き、表参道・青山近辺の飲食店事情について、東京カレンダーばりに詳しくなってきたユタカ。洗練されたラグジュアリーな男への憧れからか、最近は「来々軒」の日田やきそばを食べる際、勝手にウニとキャビアをもりもりトッピングし、夜な夜な裏アカにアップしているのだとか。
文・オオサワ系 写真と編集・岩田桂視(GQ)