鉄道存廃議論の目安「1日1000人未満」、鹿児島県関係は4路線4区間が該当 区間収支の赤字は最大4億6200万円 JR九州23年度利用客
JR九州は20日、2023年度の在来線と新幹線の1キロ当たりの1日平均利用客数を表す「輸送密度」など線区別の利用状況を公表した。法に基づき鉄道の存廃を議論する「再構築協議会」設置の目安とされる輸送密度千人未満の区間に、鹿児島県関係は4路線4区間が該当した。 【写真】2023年度の線区別収支
4区間は、肥薩線の吉松-隼人(479人)、吉都線の都城-吉松(402人)、指宿枕崎線の指宿-枕崎(222人)、日南線の油津-志布志(179人)。前年度と比較し指宿-枕崎と都城-吉松は微増した一方で、吉松-隼人は3%減少した。油津-志布志は前年度、一部区間が運休のため比較できず、豪雨災害で運休が続く肥薩線の人吉-吉松は公表しなかった。 同社は2000人未満の区間収支も公表。日豊線の都城-国分(1368人)と指宿枕崎線の喜入-指宿(1988人)も含まれたものの赤字額は前年度より改善した。1000人未満の3区間はいずれも悪化。中でも指宿-枕崎は県関係で最大の4億6200万円で、1億2500万円膨らんだ。 新型コロナウイルス感染症が5類へ移行し移動需要が高まったことで、22年度との比較が可能な在来線55区間のうち、51区間は輸送密度が増えた。2000人未満の18区間の赤字総額は約55億円で1億5000万円悪化した。同社は「今後さらなる人口減やマイカー普及などの影響を想定し、交通ネットワークを持続可能にする取り組みを進めたい」とコメントした。
九州新幹線(博多-鹿児島中央)の輸送密度は1万7004人で22年度から21%増えた。コロナ前の18年度と比べると、9割弱にとどまった。 指宿-枕崎を巡り同社は昨年11月、県と沿線3市に将来の在り方についての議論を打診。8月には存廃を前提としない検討会を立ち上げ、19日の初会合では鉄道を生かした街づくりの可能性を話し合う方向で一致している。
南日本新聞 | 鹿児島