「危機感」地域差浮き彫りに 学校の防犯機器整備、事件のあった付属池田小は警備員配置
事件後、来校者の進入路を正門に限定した上で警備員の配置を継続。職員が来校者を直接確認した上で玄関扉のオートロックを解錠し、不審な点があれば警察への通報も辞さないという。近隣の市立小学校も校門に警備担当者を配置するなど防犯意識は高く、池田市では来年度までに全ての小中学校に防犯カメラを設置するとしている。
付属池田小の真田巧校長は、全国で相次ぐ不審者の侵入を踏まえ「事件をひとごとと思わず、対策に改善を重ねてほしい」と呼びかけている。
■非常通報装置は全体の1割
産経新聞が全国20政令市を対象に実施したアンケートでは、防犯カメラとオートロックシステムに加え、文部科学省が導入を推奨する警察直通の非常通報装置の整備状況についても尋ね、各市から回答を得た。
不審者の侵入時に、ボタンを押すだけで110番ができるというメリットがあるものの、使用が緊急事態に限られることなどから、整備済みは大阪、神戸両市の約530校。整備率は全体の12%にとどまる。
ある自治体では、大阪教育大付属池田小事件を受け、全域の市立小中学校に非常通報装置を整備した。ただ、正しく作動するかどうかの確認頻度は4~5年に1回程度。自治体の担当者は「つながらずに問題になったとの報告はない」というが、導入から20年以上が過ぎ、老朽化で装置が突然使えなくなるとの懸念もある。
警察関係者は「いざというとき、機器が性能を存分に発揮しなければ設置の意味がない。動作確認や訓練を怠らないことが大切だ」と警鐘を鳴らしている。
■防犯機器は「犯罪抑止に有効」 関西国際大学心理学部教授・中山誠氏(犯罪心理学)
防犯カメラやオートロックシステムの設置によって、学校への侵入を試みる不審者に犯行を思いとどまらせる効果は確実に期待できる。近隣住民の反対などを理由に、防犯カメラの設置に後ろ向きな学校については、子供を守るという当事者意識が欠如しているといわざるを得ない。政令市に限っても、いまだ2割もの学校が未整備という現状は放置してはならず、迅速に整備を進めるべきだ。