超人的に難しい「アナウンサー」やってみて分かる大変さ ニュースデスク時代「こいつ下手くそだな」とか思って申し訳なかった
【テレビ用語の基礎知識】 個人的な話で恐縮ですが、テレビ朝日を辞めて以来、「やりたかったこと」にいろいろ挑戦しています。学生時代に編集のバイトをしており、いつか文章を書きたかった。文章はいまだにド下手ですが、こうしてこの連載などのお仕事をいただき、いちおう夢がかないました。 そして以前からナレーションとかアナウンスなど、声のお仕事に興味があったので、恥ずかしながら、今年3月から勉強を始めました。以前から大変お世話になっているナレーターの方の教室に通って、それこそ「外郎売」から始まり、風船を膨らませて腹式呼吸を訓練したり、さまざまなニュース原稿やナレーションを読む訓練をしたりと、ナレーションやアナウンスの基礎を習っているのですが、そろそろ10カ月なのにまったく上達しません。毎回、師匠にダメ出しを喰らいまくっています。 これまで番組制作者として、数多くのナレーターさんやアナウンサーさんとお仕事をさせてもらってきたわけですが、いやー、こんなに大変なお仕事だとはまったく想像もつきませんでした。画面に出演して原稿を読むということは、思った以上に難しいことなのですね。ディレクターやプロデューサー目線で考えていたアナウンサーの仕事と、実際に訓練してみたものは、天と地ほど隔たりがありました。 まずは、息が続かない。そして、字がちゃんと読めない。さらに、発音がまったく間違っている。それに加えてさまざまな「分かりやすく伝える」テクニックや、正確に伝える滑舌の問題など、驚くほどたくさんのことを上手にこなさなければならない。かつては「お昼のニュースを読むアナウンサー」とか、どうということはないと思っていましたが、いざ学んでみると、15分間、ひとりでニュースを読むことが、超人的に難しいということが初めて分かりました。 ニュースデスク時代に「こいつ下手くそだな」とか思って申し訳なかった。そして、汚い字で原稿を直して申し訳なかった。よくあんな「汚くて読みにくい原稿」を直前に渡したのに、間違えずに読んでくれたものだと、心から感謝の念が湧きます。これからニュースのディレクターや記者はみんな少しの間でもアナウンス学校に通ったらいい。仕事のやり方が確実に変わること間違いなしです。 人間って本当にアホですね。偉そうなことを言っていても、実際に体験しないと本当のところは分からないものだな、と大いに反省したというお話でした。
■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。
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