パリ五輪に世界各地で反対デモ 「人権侵害、環境破壊の五輪は廃止を!」
セーヌ会場は〝青空監獄〟
仏在住ジャーナリストのコリン・コバヤシ氏はさらに憤る。 「排除されているのは移民や難民だけではない。フランス人も含めた住所不定者、精神障害者、警察にマークされている人々も予防的にパリから締め出されている。『開かれた五輪』のプロパガンダで、高い金網で仕切られたセーヌ河岸に近づけるのは特別席と式典への入場券を持つ金持ちだけ。4万5000人以上の警察官や治安部隊の兵士に守られ、セーヌ会場は〝青空監獄〟さながらです」 都の特別支援学校教員は全国で強制されている「オリパラ教育」の実態を報告。東京五輪後は「学校2020レガシー」と名を変え「総合学習」などで続く。都立学校では25年の東京デフリンピックについての授業をするよう強要されている。フランス在住者によると、当地の「オリパラ教育」は日本のように組織的ではないが、内容は日本とほぼ同じ。アイマスクを着用させパラ競技を〝体験〟したり、選手に手紙を書かせたり、五輪礼賛に生徒の心を誘導する「かなりあざといもの」だ。 呼びかけ人の一人、吉田亜矢子さんは「五輪で大手不動産が公園などを再開発し、貧困者を締め出して環境破壊し、高級商業施設を建設する。貧富拡大と都市の財政破綻。東京とパリだけでなく世界中の開催地で同様のことが起きている」と訴える。通りかかったロス在住の白人男性は「五輪はすばらしいのに」と首を傾げたが、チュニジアの若者やナイジェリアとソマリア出身の黒人女性の2人組は「私たちは植民地主義の犠牲者よ」。ともに熱い賛意を示した。
本田雅和・編集部