コースの締めに登場するせいろ。

銀座に「蕎麦割烹 橙」がオープンした。打ち立てのそばが中国料理のアプローチで味わえる新たなグルメスポットだ。 【写真を見る】そばと中国料理の共演！

進化したソバ

「伝統と創作」を謳う中国料理の名料理人、脇屋友詞シェフが、「愛している」と公言するそばを中心とした「蕎麦割烹 橙（そばかっぽう・だいだい）」をオープンした。 2023年12月に、東京・銀座4丁目交差点からほど近い好立地にオープンした「橙」は、そば好きには伝説ともいえる「翁達磨（おきな・だるま）」で修業した森大和を店主に迎え、「チャイニーズのエッセンスを忍ばせた料理」（HPより）を食べさせてくれる。 これがたいへん面白い。提供されるのはコースのみ。前述のとおり、そばを使った料理と、中国料理を取り込んだ料理による、絶妙な組合せが楽しめるのだ。 例えば、冬のあるときのコースは下記のように組まれている。 香箱蟹の茶碗蒸し そば刺し 前菜盛り合わせ からすみそば ふぐ刺し フカヒレ玉子焼き ふぐの唐揚げ せいろ 鴨そば 韃靼（だったん）そば茶のゼリー これに日本酒やシャンパーニュをはじめとするワインなど、好みの飲み物を組み合わせていくから、おいしいもの好きなら満足度は高いだろう。 先述の「翁」の主人であった高橋邦弘の薫陶を受けた、いわゆる二八（にはち）そば（つなぎを2割使った配合）は、蒸籠とつゆそばのかたちで出され、香りと甘みというそばにしかない美味が堪能できる。加えて、「Wakiya一笑美茶樓（いちえみちゃろう）」などでおなじみのスペシャリテも、というぐあい。 「そもそもそばが大好きで、自分のお店を持ちたいと思っていたぐらいなんです」。脇屋シェフはそう語ってくれた。 上記のとおり、メニューには、Wakiyaとして知られる中国料理の要素が取り込まれていて、フカヒレが中に閉じ込められた玉子焼きなどは絶品。いっぽうで、脇屋シェフは森店主の打つそばを愛している様子で、その信頼関係のようなものが「橙」を唯一無二の店にしてくれている印象を受けた。 銀座の中心にある、おいしいそばを中心とした割烹、というのも、ありそうでなかっただけに、かなりの人気を集めているのもよくわかる。建物の1階と2階には、上海料理をベースにした「新中国料理」と呼ぶ独自のメニューを味わわせてくれる「Ginza脇屋」が入り、3階に「橙」がある。 美しい照明が印象的な店内には、長いカウンターが設置され、対面形式で料理を味わう。1室だけ窓に面して個室が設けられているのも、顧客の志向を理解しているWakiyaらしい配慮といえる。 ■蕎麦割烹 橙 住：東京都中央区銀座5-10-5 スリーY'S & D 3階 TEL：050-3662-0054 営：17:00～22:00（L.O 21:00） 休：日、月 URL：https://soba-daidai.com/ ※1万5000円コースと2万5000円コース（+10％のサービス料） （個室利用の場合は2万5000円コースに限られる）、ランチ営業なし