シュウマイあるところ、名店あり!(中華料理店編)【みんなが知らない、シュウマイの実力】
連載【日本シュウマイ協会会長・シュウマイ潤の『みんなが知らない、シュウマイの実力』】第4回 中華料理店はもちろん、和食、洋食、フレンチ、居酒屋まで、シュウマイがある店はほぼ間違いなく飲食店として名店。まずはその代表格である中華料理店について、シュウマイ研究家のシュウマイ潤が解説します。 【写真】老舗中華店のシュウマイ * * * シュウマイあるところ、名店あり――私がシュウマイを食べ歩いてきた結果、行き着いた結論のひとつです。今でこそシュウマイを専門的に話す機会が圧倒的に増えましたが、シュウマイを本格的に研究する前から、食を中心とした取材執筆を行うライター&編集者でありまして。 もちろん、その食を専門とする関係者さんほどではないにせよ、話題の飲食店には行く機会が多く、その経験を重ねるごとに、名店と呼ばれるところを判断する「法則」のようなものが、ぼんやりとではありますが分かってきました。 そんな中、シュウマイ研究を始め、訪問数が100店舗を超えた2年を過ぎたあたりでしょうか、シュウマイを出す店自体が、飲食店としても名店である確率が高いことに気づき始めました。 そしてこの法則は、主にシュウマイが所属(?)する中華料理の飲食店はもちろん、和食、洋食、フレンチ、居酒屋など、あらゆるジャンルが当てはまります。 ただ、その根拠は中華料理店とその他の飲食店だと若干異なりますので、本項ではまず前者の法則について、私なりの分析を述べさせていただきたいと思います。 シュウマイのある中華料理店が名店である理由――。それは、3つの根拠が挙げられます。ひとつは、シュウマイを提供する中華料理店の多くは、老舗中華店であることが多いからです。 老舗であるからといって、どこでもいい店とは必ずしもいえませんが、その大半は長い歴史を経て食べる人に支持をされてきたわけで、最近の「町中華ブーム」で紹介される名店の多くが、老舗中華料理店であることからもお分かりいただけるでしょう。 そもそも今日、中華料理店の中でシュウマイを出す店は決して多くはありません。研究家の私の実感としても、全体の1割程度でしょうか。その代わりに、ほぼ100%メニューに載るのが焼き餃子。 第二次世界大戦前は、焼き餃子という料理は中華料理店には存在せず、実はシュウマイのほうが一品料理として定番だったと推測できます。裏を返せば、今でもシュウマイを出す中華料理店の多くが、第二次世界大戦前から続く「老舗中の老舗」であるのです。 また、戦後直後、10年ぐらいの間に生まれた店も、その名残でシュウマイを提供する傾向が強いです。 そうした店で提供されるシュウマイは、現在よりも食材や調味料の選択肢は少ない中で、調理、味付けが行われていたためか、昔ながらの丁寧な手作りの傾向にあります。結果、シンプルかつ素朴な美味しさはシュウマイの醍醐味とも言え、同時に、日本の中華料理文化を伝える貴重な存在でもあります。