ホンダ「プレリュード」初代に国産車初の電動サンルーフを2万円アップで追加【今日は何の日?1月9日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、1978年にデビューした初代「プレリュード」に電動スモークドガラス・サンルーフ搭載モデルが追加された日だ。現在もサンルーフ(パノラマルーフ)搭載車を見かけることがあるが、1980年代から1990年代前半にかけてお洒落な人気アイテムの定番として大ヒットしたのだ。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・国産名車のすべて ホンダ初代プレリュードの「サンルーフ」とは ■初代プレリュードに国産車初の電動サンルーフ搭載 1980年(昭和55)年1月9日、ホンダは1978年に誕生したホンダ初のスペシャリティカー「プレリュード」に国産車初の電動サンルーフ搭載車を追加することを発表(発売は1月12日)。電動式サンルーフは、開放感あふれる爽快なドライブが楽しめることから、その後多くのクルマが採用してバブル時代を象徴する大ヒットアイテムとなった。 ホンダ初のスペシャリティカーのプレリュード誕生 初代プレリュードは、直線基調のワイド&ローのオーソドックスなクーペスタイルで、若者というよりは落ち着いた大人をターゲットにしたクーペとして1978年11月に誕生した。 パワートレインは、「アコード1800」と共通のCVCCを組み込んだ1.8L直4 SOHCエンジンと5速MTおよびホンダマチックATの組み合わせ、駆動方式はFFながらホンダらしい優れた操縦安定性と走行安定性が実現された。 また、速度計や回転計を同心円状に並べた独特の集中ターゲットメーター、ロータリー式のラジオなど、多くの先進かつ個性的な装備が採用され、スペシャリティカーらしさをアピールした。車両価格は、グレードごとに116万円/126万円/138万円/140万円に設定。当時の大卒の初任給は10.3万円(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で約259万円/281万円/308万円/313万円に相当する。 比較的地味なスタイリングもあって、トヨタ「セリカ」や日産自動車「シルビア」の人気に押されて日本での販売は期待ほど伸びず、むしろ米国で人気を獲得した。 ちなみに、デートカーとして人気を獲得したのは2代目と3代目プレリュードである。 約1年後に電動スモークドガラス・サンルーフ搭載車を追加 プレリュード発売の約1年超経った1980年1月のこの日に、電動スモークドガラス・サンルーフ搭載車が追加された。 ホンダが独自に開発した国産車初の電動式サンルーフは、スイッチ操作ひとつで開閉可能。スモークドガラス・サンルーフは、四季を通じてさまざまな天候のもとでも、明るく爽快な開放感を味わうことができる装備として大きな注目を集めた。 サンルーフ搭載車の車両価格は、標準車に対し2万円高く設定され、3グレードでそれぞれ118万円/140万円/142万円に設定された。ちなみに、日本で最初にサンルーフを採用したのは、1968年に登場したホンダの「N360」だが、これはいわゆるキャンバストップで、手動でスライドさせて開閉させるタイプである。 その後、サンルーフは1980年代から1990年代にかけてバブル景気の後押しもあり、デートカーや高級車にとどまらず、大衆車やRV、ミニバンにも採用される大人気アイテムとしてもてはやされた。ところが、2000年を迎える頃には、地球環境問題が社会的にクローズアップされるようになり、重量が増えて燃費が悪化し、コストがかかるサンルーフは、徐々に市場から消え去ることになったのだ。 圧倒的な解放感を演出するパノラマルーフとして復活 いったん下火となったサンルーフだが、最近になってパノラマルーフという形で復活して、採用モデルが増えている。 サンルーフは、ルーフの一部をくり抜いて、開閉できるガラスをはめ込む機構なので、解放面積の大きさに限界がある。一方のパノラマルーフは、開閉機能を持ったタイプもあるが、通常は開閉機構をもたずルーフと一体感のある構造を採用。その名が表すように広い景色が見えるように解放面積をより大きくして、圧倒的な解放感を実現しているのが特徴であり、さらに開閉機構がなければコストも重量も抑えられるのだ。 最近採用が増えている要因のひとつは、軽量化や低コスト化、高強度化といったガラス技術の進化が上げられる。さらに、コーティング技術によって赤外線や紫外線カット、遮音、撥水性の向上など、特に調光機能を持つガラスが登場したことがパノラマルーフ復活の要因となっている。調光ガラスは、透明状態と着色状態を任意にコントロールすることが出来るガラスで、例えば日差しを和らげる調光(遮光)モードと透過(通常の透明)モードをスイッチ操作で瞬時に切り替えることができる。 ・・・・・・・・ サンルーフというのは機能的に見ればそれほどのメリットがない、いわば贅沢装備の部類に入る。今後、これまで以上にコストや重量(燃費)が重視されることを考えると、何でもありのバブリーな1980年代のような大ブームにはならないように思う。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純
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