無断キャンセル対策へ イノベーションが支える飲食店予約サービス
いつの時代も、自分が宴会の幹事をやることになったらなかなか大変だ。会社の歓送迎会などで参加者が多くなればなるほど、店を選ぶのは難しくなるし、店の側もキャンセルを恐れてなかなか予約の承諾に踏み切れない。そんな双方の悩みを解決するサービスがいま人気を集めている。
NO SHOW防止へ 店とユーザーを即座にマッチング
「ビスポ!」という日本最大規模の飲食店即時予約ネットワークが注目されている。ビスポ!は2018年8月にLINEやサッカー選手・本田圭佑氏の個人ファンドから出資を受けて誕生したサービスだ。 システムはこうだ。ビスポ!のLINEアカウント上で希望の条件や予約日時、ジャンルなどをリクエストすると、その日時に空席を持っている飲食店だけに通知され、即座に飲食店とユーザーがマッチングされる。 人数も最大48人まで選択可能で、団体予約が可能な店を探すのにも便利なうえ、予約・顧客台帳サービス3社とつながっており、確実に予約が入れられるメリットがある。さらに、複数店舗を仮予約する必要がないため、キャンセル忘れによる「NO SHOW (ノーショー)」防止にも役立つ。当初はユーザーから予約が入った場合にのみ飲食店に仲介手数料を請求するサービスだったが、今年2月中旬以降は、完全無料となった。 昨年8月から約100店舗が参加してテスト運用してきたが、2月中旬以降は本格稼働し、参加店舗数は東京23区だけで一気に約1000店舗に拡大。登録ユーザー数も3万人を超えるようになったという。 飲食店への課金は行わず、各種プロモーションやキャンペーンなどで利益を上げて賄う予定とのことだ。飲食店からの反応は上々で、とりわけLINEを通じた集客ができることにメリットを感じる飲食店が多いという。また利用者は、チャットで予約するという体験が新鮮で便利だという反応があり、さらなる「進化系」の要望もあるという。 ビスポ!の高岳史典社長は「2019年中に全国展開し、2020年には参加店舗数1万店、ユーザー数100万人を目指す」と話している。 これに関連する別のサービスも注目されている。ビスポ!に先立って、高岳社長が2017年にプロデュースした飲食系のサービスに「ごひいき予約」がある。ダイナースクラブ、LINE、レストラン予約・決済代行のポケットコンシェルジュが連携し、直前キャンセルによって生じる飲食店の機会損失を救済。空席を埋めたい店舗と、なかなか予約がとれない人気店に行きたい客のニーズをマッチングさせた会員制サービスである。直前キャンセルというネガティブなイメージを「直前でもまるで上得意客のように予約できる」というポジティブなサービスに転化したところがミソだ。現在約70の店舗が参加し、上質な会員が参加しているという。