ピアストリ、マクラーレンのオーダー受け入れも”無条件降伏”ではないと強調「全部ノリスの後ろを走れというわけじゃない」
マクラーレンF1のオスカー・ピアストリは、今シーズンのタイトル争いのためにチームオーダーへ従う方針を認めているが、それは単にチームメイトを毎回先行させるという意味ではないと語る。 【リザルト】F1アゼルバイジャンFP3|マクラーレン勢上位に 今シーズン速さを大きく増したマクラーレンは、第16戦イタリアGP終了時点でコンストラクターズタイトル争いで首位のレッドブルから8ポイント差へ接近。ドライバーズタイトルでもランド・ノリスがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に対して62ポイント差と、チャンピオンの可能性を残す位置につけた。 これまでマクラーレンはドライバーを自由に争わせてきたが、タイトル獲得のチャンスがあることから、アゼルバイジャンGPを前にチームオーダーを発動させる姿勢へ転換。ピアストリには必要なら勝利を諦めさせ、ノリスをサポートする方針で同意させたことが明らかになった。 ピアストリは以前、ノリスのサポートを考えることよりも自分自身のタイトル獲得のチャンスが薄れつつあることを考えなくてはならないと主張していたが、マクラーレンがダブルタイトルを追いかけている中、自らも最善を尽くすと語った。 「この数日間、僕らはたくさん話し合ってきて、僕はドライバーとして自分の利益について話してきた。当然チームオーダーというのは楽しいモノじゃないけれど、ここでは自分自身の問題というだけではなく、もっと大きな問題があることに気がついたんだ」 ピアストリはmotorsport.com/Autosportにそう語った。 「僕はF1デビューのチャンスを与えてくれたこのチームのためにレースをしている。この18ヵ月間で優勝のチャンスも貰ったし、そのことにとても感謝している。そして僕のことよりも大きな挑戦があるんだ。僕らはダブルタイトルを目指していて、それはチームにとって信じられないほどに大きな事なんだ」 「コンストラクターズはもちろんそうだし、(ドライバー含め)1年で両方のチャンピオンシップを制するチャンスがあるのなら、チームとしてそれは大きな目標になる」 「自分のことを考えればできればそう(サポートは)したくはない。でも僕は全てが自分のためにあるわけではないことは理解している。今シーズンのこの段階でサポートする役目を務められるんだから良いものだ。もっとシーズンの早い段階ならやりすぎかもしれなかったけど、今はチームが目指すダブルタイトルを助けるのに適切なタイミングだと思う」 ただピアストリは、マクラーレンが明確なルールを敷いていないため、サポートが要求されない限り、勝利を目指して戦う自由があると主張している。 「もっと話し合いが必要だけど、僕が重要だと思っているのが毎回のレースでランドのために停まらなくてはいけないというわけじゃない点だ。ランドも含めて、そんなレースにはだれも出たくないだろうけどね。全てのシナリオを想定することは不可能だし、もちろん公に議論することも避けたい」 「大事なのは、誰かがその週末に優れた仕事をしたと感じたなら、どのような形でもそのリターンを与えたいということだ。もちろん、そこがまた難しいところで、僕らが話し合いを続けないといけない理由なんだけどね」 「これはシンプルに僕が”レースで毎回ランドの後ろを走る”というものじゃないし、これから下される決定もそうではない。僕にもチャンピオンシップで達成したいことはあるし、チャンピオンシップの順位を高めたいと思っているからね」 なおイタリアGPのオープニングラップでピアストリは2番手スタートだったが、前を行くノリスを第2シケイン(ターン4)でアグレッシブにオーバーテイクしトップに立った。この動きはアゼルバイジャンGP前の最新のチーム内の合意に照らし合わせると、違反した動きになるようだ。 「全く同じシナリオでも、いくつかは(新しいチーム内のルールでは)異なっている」 「モンツァの状況で僕がしたことは問題ではなかった。僕はいい動きだったと思っている。もちろん、(シケインを抜けたあとでノリスがフェラーリのシャルル・ルクレールにも抜かれたことで)トップと3番手という状況は、チームとして望んでいた状況ではない」 「ああいったことが起こらないようにするためには、ふたりの協力が必要だ。でもあの時の状況では全てルールに則っていて、悪いことはなかった。ただコーナーを抜けたときの結果が望んだようなものじゃなかっただけだ」 「とはいえ、レース結果はそこで決まったのではなく、フェラーリが戦略で大きなギャンブルをしたからだ。シャルルがギャンブルしていなかったら、僕らはワンツーだったろう」
Mark Mann-Bryans