首位・町田の強さを裏づける数値 Jリーグの「データ」が面白い! シュート決定率、ゴール期待値、ブロック数...
【鹿島はボランチの守備が高いレベルで機能】 神戸と同勝ち点で3位の鹿島は、得点数が24(5位タイ)と高いが、町田や神戸ほど際立つスタッツは多くない。そのなかで目を引くのがシュート決定率13.0(3位タイ)だ。 鹿島はシュート総数185(11位タイ)、枠内シュート総数49(16位)、ゴール期待値19.9(12位)とチャンスのスタッツは高くない一方、高い決定率によってゴール期待値を上回る得点数を叩き出している。 振り返ればシュート数では相手よりも劣りながら競り勝ったり、追いついたりという試合が多い。第9節サガン鳥栖戦(2-4)、第13節東京ヴェルディ戦(3-3)で多くの失点を重ねたものの、そのほかの試合では少ない失点数で抑えられていることが、この順位の理由だろう。 守備のチームスタッツで被シュート総数178(6位タイ)、被枠内シュート数51(6位タイ)、インターセプト総数31(5位)は十分に高スタッツと言えるが、それ以上に目立つのは個人のデータで、MF知念慶の存在だ。 今季からボランチにコンバートされた知念はデュエル勝利数63(1位)、インターセプト総数11(2位)、タックル総数60(1位)、空中戦勝利数42(19位)と守備に関わるスタッツで軒並み高い数値を叩き出している。MF佐野海舟も守備のスタッツが高く、ボランチの守備が高いレベルで機能しているのがわかる。
【広島の不思議...16項目で一番のスタッツなのに】 そんな町田、神戸、鹿島の上位3チームを、攻守にはるかにしのぐスタッツを記録するクラブがある。現在9位のサンフレッチェ広島だ。広島は1試合分消化が少ない状況だが、それにしてもスタッツの高さに対して勝ち点が思うように伸びていない。 というのも広島はシュート総数、ゴール期待値など9項目で1位のスタッツで、被シュート総数系、被ゴール期待値系の7項目で1位と、優れた数字なのだ(原稿最後部にリストあり)。つまり計16項目で一番のスタッツを記録していることになる。しかもそのほとんどが得点、失点の数に直結するものだ。 同じ計算で町田は3項目、神戸は6項目で1位であることから、いかに広島が抜きん出たスタッツなのかがわかるだろう。一方で気になるのはシュート決定率9.3(13位タイ)の低さと、被ゴール期待値12.4(1位)に対しての総失点数14(4位)である。 シュート決定率が低いとはいえ、ゴール期待値27.7で25得点は十分だ。神戸もゴール期待値26.6に対して24得点。ただ、被ゴール期待値12.4に対しての総失点数14はともに絶対数こそ低いものの比率としては上位陣と比べると無視できない。 町田は被ゴール期待値16.7、神戸は被ゴール期待値14.2に対して共に11失点と下回っている。広島は引き分けたほとんどの試合で、シュート数、枠内シュートで圧倒し、負けた第12節名古屋グランパス戦ですらどちらの数字でも凌駕している。 勝ち点が思うように伸びていないのは引き分けの多さだが、神戸は紙一重で上回って勝ちきり、町田にいたってはゴール期待値を上回る得点を決め、クリーンシートを7つ重ねて今の順位がある。 ちなみに広島とは対照的に決定率の高さで目立つのが、得点総数26(1位)のFC東京だ。シュート総数が171(16位)と少なく、ゴール期待値も17.8(15位)と低いにもかかわらず、シュート決定率15.2でダントツの1位。しかし、それを相殺するほどの失点総数(24失点・16位)となりながらも、総合順位は8位にとどまっている。 町田と神戸の攻守に優れたスタッツは、改めて上位にいる理由がよく表れている。決定率で明暗を分ける広島と鹿島も面白い。今後も細かなスタッツに注目するのは、Jリーグの楽しみ方のひとつになりそうだ。