“飛ぶボール”が適合球に戻って影響を受けるのは?
統一球が「飛ぶボール」に変わっていた問題が浮上して以来、そのボールが継続使用されていたが、明日、29日のセ、パ6試合から反発係数がアグリーメント内(0.4034~0.4234)に収まった適合球に一斉に取り替えられる。統一球の供給先のミズノ社が、在庫品の中から、反発係数が規定内に収まっている適合球をかき集めて、NPBの検査を受けたが、約1200ダースのボールの反発係数の平均が、0.416で、合格したため、適合球として一斉に使用されることになった。 また、それらのボールが、なくなる頃には、規格内の反発係数で製造した新球の供給が、間に合うという。ミズノ社の発表によると、計算上、開幕以来使われていた「飛ぶボール」は、100メートルの飛距離に関して、およそ2.5メートルの違いがあったという。現場の意見を聞くと、「そこに風や他の条件が、いろいろと絡んでいると、打球の速さの違いや、ボールの打ち損じが減るなどの影響が出ている。単純に2メートル違う、3メートル違うという話ではない」という声があった。飛ぶボールの影響だけとは断言できないが、ホームラン数は、昨年に比べて約20パーセント増となっていた。 では、ボールが、適合球、つまり、低反発球に戻ることで、今後のペナントレースの行方に影響は生まれるだろうか?阪神のDCで評論家の掛布雅之氏は、こんな意見を持っている。 「一般論で言えば、昨年の実績に反して、本塁打数の多いチーム、チーム打率の高いチームなどに影響が出るでしょう。となると、セでは、チーム打率が、リーグトップと調子のいい阪神が、影響を受けるチームのひとつになるんですよね」 昨シーズンのチーム成績と比べて、明らかに変わっているのは、セで言えば、広島の本塁打数と、阪神のチーム打率とチーム得点。パでは、ソフトバンクのチーム打率が.300と高いが、昨年もチーム打率、本塁打共にリーグトップのチーム。それよりも、オリックス、ロッテの本塁打数が、そのソフトバンクと変わらぬペースで増えていることが気になる(オリックスは、ペーニャの10本が影響しているのだが)。 31本塁打の広島は、今のままのペースで本塁打を量産すれば、トータルで179本塁打という脅威の数字となる。昨年は、13本塁打だったエルドレッドが、早くも8本。また、チーム打率.298の阪神は、1番の上本から6番の新井良太まで、軒並み3割打者が並ぶ。しかも、昨年19本塁打のマートンが6本塁打で、14本塁打の新井良太も6本のハイペース。新井良太らは、昨秋から打撃改造に取り組んでいて、すべてを「飛ぶボール」の効果だと、紋切り型で語られるのは、気の毒のような気もするが、その真偽も、適合球に戻ってからの成績で、確かめられることにもなる。