[NBチャンピオンシップU-16]攻守に存在感のMF三國ケースマンエブスらが奮闘も、弱さも出た青森山田は矢板中央と0-0ドロー
[9.14 NBチャンピオンシップU-16 予選リーグ第2節 青森山田高 0-0 矢板中央高 時之栖うさぎ島G] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 14日、“ 全国大会級のU-16大会”「ニューバランスチャンピオンシップ 2024 U-16」は予選リーグ第1節と第2節を行った。Dブロック第2節でともに優勝歴を持つ矢板中央高(栃木)と青森山田高(青森)が激突。0-0で引き分けた。 昨年、プレミアリーグと選手権を制している青森山田の1年生は、周囲から注目される中での戦い。今年は個性的な選手を複数擁しているが、木村和実コーチは「まだ青森山田の選手になり切れていないです」と指摘する。 この日は前回大会準優勝校・東海大高輪台高(東京)との初戦を1-1でドロー。木村コーチは「2試合目は内容としては悪くはなかったんですけど、やっぱり勝負どころで決め切れない。球際で勝ち切れない。まだ弱さがあります。(周りを気にして)ひたむきに、一生懸命ボールを追っかけることがまだできてない」と厳しい。この試合では青森山田のノルマである無失点はクリアしたが、インターハイ、青森ユースフェスティバルでのPK戦敗退のリベンジに燃える矢板中央に勝ち切ることはできなかった。 青森山田は開始20秒、右サイドで抜群のスピードや際の強さを見せたMF原田幸の右クロスから、MF蓮沼大河が決定的な右足シュートを放つ。だが、矢板中央DFがブロック。その矢板中央は長身アンカーのMF朴智永が跳ね返しで健闘したほか、3バックの中央を担うDF武井泰慎がカバーリング広く守るなどチームを安定させていた。 そして、FW西本有希をターゲットに俊足FW吉川志櫻やMF勝又欧介が鋭く抜け出す動き。だが、青森山田は守備対応の上手さが光るCB松田秀愛やCB小澤丈が巧みにランニングコースを消したほか、球際での強さを見せてゴールに近づけない。 そして、ともに青森山田で選手権優勝を経験しているDF三國スティビアエブス(現アルビレックス新潟シンガポール)とDF三國ケネディエブス(現名古屋)を兄に持つMF三國ケースマンエブスが、得意とするドリブルや奪い返し、ヘディングでも目立つ動きを見せる。 その青森山田はFW高江洲真吾とFW小林昊惺の2トップからの切り替えの速い守備で簡単には相手にクリアをさせず、MF藤原優人や三國の奪い返し、右SB水谷鉄生のスペースへの配球などから押し込もうとする。だが、矢板中央も引かずに前へ。30分ハーフの前半を0-0で終えると、矢板中央はハーフタイムに11人全員を入れ替えた。 後半、フレッシュな選手が奮闘する矢板中央に対し、青森山田はセットプレーの本数を増加。ゴール前で足を振るが、矢板中央の赤い壁に阻まれてしまう。三國は「自分たちのチームは得点力と守備の場面で失点が多くて、それを改善しようっていう話にはなっているんですけど。最近、守備は良くなってきてるんですけど、攻撃のところで点が取り切れないっていうところがちょっと多くなっている。もっと練習で頑張らないと」と指摘する。 三國は高校進学からの半年で体力面の成長を実感。この試合では、中盤でのキープ力など差を生み出していたのの、得点に導くまでには至らない。「(これまで得点を取るタイプではなかったが、)得点を取らないと。チームのためにもなんないので、これからチームを引っ張っていける存在になりたいです」。青森山田は後半、高江洲が怖さのある動きを見せていたほか、左SB杉本倫澄のクロスなどから相手ゴールをこじ開けようとする。 だが、勝負どころで流れを切るようなミスも。一方の矢板中央はDF田代健琉らが跳ね返すたびにベンチが盛り上がり、FW橋口翔真らがグイグイと前に出て青森山田を押し下げようとする。青森山田は相手の勢いに飲み込まれず、GK太田尾明磨が守るゴールにほとんど近づけなかった。だが、矢板中央ゴールを破ることもできず、悔しいドロー。1勝1分でグループ首位の矢板中央、総得点差で2位の東海大高輪台を追う立場で予選リーグ最終節(15日、対宮崎日大高)を戦うことになった。 三國は「最後はなんかドリブルで失うシーンもあって、体力的にちょっときつくなってる場面もあったんで、実力不足をちょっと感じました」と悔しがる。まだまだ、先輩たちのような勝負強さ、勝ち切る力を発揮することができなかった。このあと、青森県選抜として国民スポーツ大会(佐賀)にも出場する1年生たちは、経験を重ねながらタフな選手、チームに変わるか。 三國は「お兄ちゃんを超えることが自分の目標なんで。比べられてもひたむきに努力して超えたいです。(SBやFWも務める万能性に加え、)お兄ちゃんたちと比べると、多分ドリブルは絶対自分の方が上手いんで、そこはもう自信を持ってやっていきたいです」。今大会の目標は優勝。青森山田らしく守りからリズムを作り、対戦相手を上回って必ず勝ち切る。