同友会新浪氏、円需要を生み出すためには日本に投資してもらう必要
(ブルームバーグ): 経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス取締役社長)は14日、円安が続く現状について「本質的な円需要を作るため日本に投資してもらう必要がある」との見解を示した。
同氏は14日の定例記者会見で、現在の円安は「金利差だけでは説明しきれない」部分があるとした上で、円の「実需が足りない」ことが要因の一つだと指摘。割安であることを背景に株や土地などの金融資産に投資が流れている一方で、実質投資は少なく、日本に投資したいと思われる環境づくりが必要だと語った。また、日本銀行が少し金利を上げただけで為替相場に影響が出る状況ではないのではとの見解も示した。
日銀は3月の金融政策決定会合で物価安定目標の実現が見通せる状況に至ったとして、世界最後のマイナス金利政策を解除し17年ぶりの利上げを決定した。大規模緩和からの転換にもかかわらず円安基調に歯止めがかからず、市場では円安対応への追加利上げ観測がくすぶっている。
新浪氏は実質賃金が24カ月連続マイナスを記録する中、遅くとも7月までには前年同月比でプラスに転じる可能性が高いとの見方も示した。一方で、企業は消費者の値上げ受け入れ意識を見ながら円安影響を価格に転嫁していくが、価格転嫁が進むと物価の影響を受ける実質賃金は上がりにくくなると指摘した。
このほか、日産自動車が原価低減を目的に下請け業者への代金を減額していたことについて「企業が一緒になってデフレを脱却しようしている中で、こうした事例は大変遺憾」だとし、今後の対応に注目していると話した。
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Akemi Terukina