有事見据えた「特定利用空港・港湾」指定 沖縄・玉城デニー知事は同意見送り 離島の〝民意〟無視…誰のための県政か
【沖縄が危ない!】 「台湾有事」などをにらみ、政府は全国の重要な空港・港湾を「特定利用空港・港湾」に指定し、平素から自衛隊や海上保安庁が円滑に利用できるよう機能強化を進める方針だ。 【写真】陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイを使用して行われた、負傷隊員の搬送訓練=沖縄県・石垣島の新石垣空港 台湾に近く、対中最前線でもある沖縄では12カ所が候補に挙がった。だが、玉城デニー県政が指定に難色を示しており、今年4月、実際に指定されたのは国管理の那覇空港と石垣市管理の石垣港だけだった。 空港・港湾の機能強化は、有事には自衛隊の対応能力を高め、県民の円滑な避難にも役立つ。平時には観光客誘致や住民の利便性向上につながる。県民にとって一石二鳥のはずだ。 「オール沖縄」と呼ばれる県政は「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対」を一丁目一番地に掲げるが、今、政府による特定利用空港・港湾の指定にも立ちふさがっている。 国防、さらには地域振興をも邪魔する県政とは、一体誰のために、何のために存在するのか。改めて疑問に思わざるを得ない。 政府が沖縄で特定利用空港・港湾の候補に挙げた12カ所には、尖閣諸島を抱える石垣市の新石垣空港、台湾と目と鼻の先にある日本最西端の与那国空港も含まれる。 石垣市、与那国町とも地域振興のため、空港の滑走路延長を空港管理者の県に要請してきたが、県は費用対効果を理由に応じていない。 しかし、両空港が特定利用空港・港湾の候補に浮上したことで風向きが変わった。指定によって、政府主導で滑走路延長やエプロン拡張などが進む可能性が出てきたためだ。 石垣市の中山義隆市長は「指定を受け入れる」と明言し、与那国町の糸数健一町長も「千載一遇のチャンスだ」と期待。県に対し、指定への同意を迫った。 しかし、玉城県政を支える共産党、社民党などは「指定されれば空港が軍事拠点化され、有事の際は攻撃対象になる」と主張。玉城知事に対し、指定に同意しないようくぎを刺した。知事は2月、県議会で「県民に強い不安の声がある」と述べ、同意見送りを表明した。離島の「民意」を軽視する姿勢を示したに等しい。 空港・港湾が攻撃対象になるかは、指定の有無とは関係ない。しかも玉城知事は辺野古移設問題で常々、「民意を尊重せよ」と政府に移設反対を訴えてきたのではないか。その一方で、自らは離島の声に向き合わないとは、ダブルスタンダードも甚だしい。