「ナイジャ」再び五輪へ 日本勢に最強の敵―スケートボード・パリの灯は近く
インスタグラムのフォロワー数は500万人超で、賞金総額も桁違い。 スケートボード男子ストリートのナイジャ・ヒューストン(29)=米国=はこれまで、名誉ある大会で数え切れないほどのタイトルを手にしてきた。世界最高と称されるスケーターを、再び五輪で見ることができそうだ。 米カリフォルニア州で生まれ、スケーターだった父の影響でデッキ(板)に乗るように。スポンサーがついたのは7歳の頃。その才能は、早くから注目を浴びた。世界最高峰のストリートリーグ(SLS)や賞金大会のXゲームズは何度も制覇。全身にタトゥーの入る「ナイジャ」は、誰もが憧れる存在になった。 デッキを操る技術は圧巻だ。45秒間に技を詰め込む自由演技のランで、地面を蹴りながらデッキを押し進める「プッシュ」と呼ばれる動作は、一般的に4、5回は必要。ナイジャの場合はその回数が極めて少なく、抜群のスピードを生み出す。五輪予選シリーズ第1戦で、たった2回のプッシュでランを滑り切った姿を見た日本代表の早川大輔コーチは「尋常じゃない」とうなった。 祖母が日本人。ナイジャは和食好きで、昨年の世界選手権で東京を訪れた際、日本庭園や海鮮料理を楽しむ様子をインスタグラムにアップした。トレードマークのタトゥーには、漢字で彫られた文字もある。 そんな思い入れのある日本は、今や10代のスケーターが次々と台頭するストリートの強豪国となった。「こんなに何人も出てくるなんてクレイジーだよ」と笑うが、パリでは日本勢の前に強敵として立ちはだかるはず。7位に終わった東京五輪から3年。「できる限りの準備をする」と謙虚にその時を待つ。